弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第271回
タレントが恐喝で逮捕!

元公安庁長官が詐欺で逮捕されたと思ったら、
今度は、タレントが恐喝の容疑で逮捕されてしまいました。
ドラマや小説、ニュースでは、
殺人や強盗などの刑事事件を多く取り扱いますが、
みなさんの生活に関係のあるのは、刑事事件よりも、
民事事件ですから、このコラムでは、
刑事事件のニュースについては、
あまり取り上げないことにしています。

しかし、前回の詐欺事件、
今回の恐喝事件は、いずれも民事絡みなので、
取り上げることにしました。
新聞報道などで言われている事件の概要は、
タレントは、4億円の返済義務があったところ、
脅かして、1000万円を支払うことで、
残りは免除させたというものです。
ちなみに、債権の取立でなく、
免除させることでも恐喝になります。

タレントは、
免除させる交渉の場面にはいなかったようなので、
「交渉を依頼していない」
「交渉は依頼したが、脅かして免除させるとは思わなかった」
という主張をする可能性があります。
これに対しては
「依頼していないのに暴力団関係者が
代わりに交渉に行くはずがない」
「暴力団関係者に依頼すれば、
どのような交渉がされるか(脅かすということ)はわかったはず」
と反論されるでしょう。

この事件も、タレントと警察・検察のどちらの主張が正しいかは、
今後明らかになっていくでしょう。
この事件でわからないのは、
タレントは、
弁護士を雇って示談に立ち会わせていたということです。
弁護士が立ち会っていたにもかかわらず、
恐喝が行なわれたということなのでしょうか?
そうだとしたら、
弁護士は何のために同席していたのでしょうか?

タレントの代理人として、
弁護士が交渉しているにもかかわらず、
弁護士でない人たちがタレントの代理人か
仲介者として交渉に同席していることも、
通常は、ありません。

ただ、みなさんに、知っておいてもらいたいことは、
弁護士以外に交渉を依頼すると、
その代理人が相手方を脅かした場合、
みなさんが恐喝で逮捕される可能性があるということです。
気をつけてください。





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2007年7月5日(木)

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