弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第382回
貸主のロックアウトは違法です

hiQを読んでいるみなさんの中には、
マンションやアパートなどのオーナーの方も多いと思います。

賃料の不払いをする借主に貸してしまった場合は、
その回収や明渡しには、
法的手続によると多額の費用がかかるので、
困っているという方も多いのではないでしょうか?

こんなとき、誰でも思いつくのは、
家賃を滞納した借主が外出している間に、
鍵を交換してしまって締め出すという方法です。

家賃を支払わないのだから、
マンションも利用できないのは当たり前と、
みなさん、そう思うはずです。

しかし、借主の同意を得ないで、
借主を締め出すという実力行使(「自力救済」と言います)は、
認められていません。

一度借主にマンションを貸すと、
借主が使用している状態が保護されることになっています
(これを「占有権」と言います)。

この借主の占有権を奪うには、
法律上の手続によらなければならないというのが、
法律上のルールです。

そして、この占有権を貸主が勝手に奪ってしまうと、
不動産侵奪罪という犯罪に該当する可能性があります。

マンションやアパートのオーナーの方は気をつけてください。

最近、敷金礼金ゼロ物件で、
家賃の支払いが一日でも遅れたら、
鍵をかけて締め出す取扱をしている業者がいるそうです。

敷金・礼金ゼロなのだから、
それくらいしないと
家賃滞納に対抗できないという言い分があると思います。

確かに、経済的合理性からすれば、
業者の言うとおりではありますが、
現行法上は、認められない可能性の高い取扱だと思います。





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2008年8月12日(火)

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