弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第392回
相続税を高くすると

前回から、相続税を高くした方がよいのか
という話をしていますが、
相続税を高くしすぎると、
夫や親が亡くなっただけで、
夫や親の名義の財産がほとんど国に取られてしまうことになり、
残された遺族の生活が
一変してしまうということにもなりかねません。

今でも、夫や親が経営している会社の株式の評価が高すぎると、
妻や子供が会社の株を相続する際に、
多額の相続税を支払わなければならないことが、
事業承継のネックになっているくらいですから。

また、長年住み慣れた家を売らなければならない
という事態にもなりかねません。

これらのように、夫や親が急死して、
遺族の生活が急激に変化しないように、
手当てされた結果が、基礎控除だったり、
特例だったりするのです。

さて、相続税が高くなりすぎて、
もっと問題なのは資産家やお金持ちが、
資産を現金などに変えて、
日本国外に行ってしまう可能性があることです。

今はグローバル社会で、
お金のある人にとっては、
海外に移住することは、比較的簡単になりました。

海外には、相続税のない国や相続税が低い国がありますから、
そちらに移住してしまうということが考えられます。

税率が低くなったとは言え、
お金持ちや資産家の方が税率も高いし、
その納める税額は、何億だったり何十億だったりします。
これらの税収が、無くなってしまったときの
国としての損失はかなり大きいと考えます
(これは高額所得者の所得税率を高くする場合も同じです)。

また、人間は、
自分の妻や子供に多額の遺産を残してあげたいから、
一生懸命に働くということも、多いと思います。
自分が稼いでためたお金が、
自分の妻や子供に行かないのであれば、
そんなに働いて貯めたりしない
ということになるかもしれません。
それもあって、
そんな国には住んでいられないということになるかもしれません。

だから、相続税を高くすればいいというものでもないようです。

まあ、HiQを読んでいる方は、
資産家やお金持ちが多いでしょうから、
圧倒的に相続税は低い方がよいという人が多いかもしれませんね。


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2008年9月23日(火)

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