弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第413回
株の買値が高くても問題

前回、MBOのときに、
経営者が会社の株を安く買い取るのが問題だという話をしました。

今回は、株の買値が高い場合の話です。

日経新聞の記事にあったのですが、
賃貸仲介のアパマンショップホールディングスが
非上場の子会社を完全子会社にしようとして、
子会社の株式を株主から買い取りました。

その株式の買取価格が高すぎるとして、
株主が、買取価格を承認した取締役に対し、
適正な買取価格との差額の賠償を求めて
株主代表訴訟を起こしたのです。

ちなみに、この株主代表訴訟は、
株主が、取締役に対して、
会社に損害を賠償するように主張するものです。

だから、株主が裁判に勝っても、
自分にお金が入るわけではありません。

取締役が会社に賠償すれば、
その分、会社の株の価値が上がることから、
株主代表訴訟は株主にメリットがあるということなのです。

アパマンショップの裁判の話に戻りますが、
裁判は、一審では、買取価格の判断について
不合理な点はなかったとして、
取締役に対する損害賠償請求を認めませんでした。

しかし、二審では、
買取価格に合理的根拠はなく高すぎると判断され、
取締役に対する損害賠償請求が認められたのです。

これも、最高裁で争われるでしょうから、
どうなるかは注目です。

上場会社では、株を買うときに、
安いと安すぎると文句を言われるし、
高いと高すぎると文句を言われる可能性があるということです。

みなさんが個人で市場で株を購入する分には、
高くても安くても
誰からも訴えられないとは思いますので、ご安心ください。


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2008年12月4日(木)

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