弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第431回
完済が10年以内なら返してもらえる

前回お話したサラ金などへ借金が完済した場合の過払金について、
一体、いつまで遡って返還請求できるのかという点について、
つい最近、最高裁判所で判決が出ました。

これは、返還請求の時効の問題です。
法律上の問題点を説明すると、少し難しいので、
結論だけお話します。

最高裁判決は、過払金の時効は取引が終了したときから、
10年と判断しました。

これは、サラ金などの貸金業者にとっては、脅威です。
もう返済を受けて利益を得たと思っていたのに、
過去10年以内に完済した人から、
過払金の返還を請求される可能性があるからです。

これは、過去10年以内の利益を吐き出すということではなく、
過去10年以内に完済した人の過去の取引に遡って
利益を吐き出すということですから、
完済した人が10年も取引を続けていたとすれば、
さらにそこから10年遡って
利益を吐き出さなければならないということなのです。

逆に、サラ金から借金をして、過去10年以内に完済した人は、
過払金を今からでも返還請求できるということになるのです。

この過払金は、サラ金との取引が長ければ
たくさん返ってきますが、
完済までの取引が短ければ返ってくるお金も少ないです。

サラ金への借金返済で苦労した人がいたら、
過払金の返還を求めることを考えてもよいかもしれません。

ここ数年、サラ金などの貸金業者に
不利な最高裁判決が続いて出されています。

そのせいで、貸金業者が過払金の返還請求を受け、
貸金業者から多額の資金の流出が続いています。

その結果、上場している
サラ金などの貸金業者の株価が下がっているようです。


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2009年2月10日(火)

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