弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第459回
みなさんが刑事事件に関与する

これまで、このコラムでは、
刑事事件については、
マスコミで大きな話題となったとしても
あまり取り上げませんでした。

それは、ドラマで取り上げられる弁護士の仕事は刑事弁護ですが、
普通にみなさんが生活していく上で、
刑事事件に関与することはほとんどなく、
弁護士に依頼するとすれば、
離婚や相続、貸金、会社に関することなど民事事件だからです。

ところが、この度、
みなさんは、強制的に刑事事件に
関与させられることになりました。

それが、「裁判員制度」です。
みなさんの中には、
裁判所に行かれたことがない方も多いと思います。
弁護士と話したこともない方もいらっしゃると思います。

それが、いきなり裁判所に呼び出され、
被告人が有罪か無罪か、有罪だとしたら刑は死刑か、無期か、
懲役何年かなどについて、判断することになるのです。

しかも、殺人などの重大な犯罪についてです。
みなさんは、犯罪者や被害者(あるいはその家族)に対面し、
生の声を聞くことになります。

そんな重大な義務を国民に強制してよいのか
という疑問はありますが、
先進国と呼ばれる国の多くが採用しており、
マスコミでも賛成されていることから、
遂に、実施されることとなりました。

みなさんは、抽選で選ばれたら、
裁判官と同じことをすることになります。

裁判員に選ばれた方は、犯罪や被害者と真摯に向き合い、
適切な判断をしていただくことをお願いします。

幸か不幸か、僕は、司法関係者なので、
裁判員にはなることができません。

みなさんが、このような重責を担わなければならないのに、
僕が無関係でいられるなんて申し訳ないですね。


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2009年5月26日(火)

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