弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第479回
FXの次は年金たまご

第475回(7月21日)のコラムで、
FX取引詐欺の疑いのある投資被害の事件を取り上げましたが、
それから、一週間も経たないうちに、
またもや大型投資被害事件が発覚しました。

今回のは、その名称もユニークで、
年金たまご」取引です。

この年金たまごとは、
主催者が勝手につけた名前で、
年金とは全く関係ありません。

健康食品を買い続けると、
年金を受けるかのように
継続的に配当が受けられる
というシステムのことが名前の由来のようです。

警察は、形式は、
健康食品の代金としてお金を払っているけれども、
実質的には、代金は出資金であって、
高利回りをうたって出資金を集めたのだから、
出資法違反だということで、捜査に着手したようです。

約束した利回りの実現が不可能だとわかっていながら
出資金を集めていたということになれば、
詐欺になる可能性があります。

このケースでも、配当が滞って、
問題の投資が発覚したようです。

現在捜査中なのでわかりませんが、
これまで述べた投資被害のケースと同様に、
高利回りをうたって出資金を集める
→出資金の中から配当をする
→配当により資金が尽きる
→破綻

という流れを辿ったのではないかと推測されます。

経営者は、代金であって出資金ではない
と主張しているようですが、
購入代金に対し、配当がなされるのはおかしいし、
しかもその配当は購入代金を上回るというのも、
理屈に合いません。

警察が、購入代金ではなく、
出資金だったと考えるには理由があります。

このシステムが、詐欺なのか、
出資法違反なのかは、
今後警察の捜査で明らかになってくるでしょうが、
支払ったお金は戻ってこないと思います。

お金を出すのは簡単ですが、取り戻すのは難しいので、
よくよく注意してください。

ちなみに、前回FX取引による投資被害を取り上げましたが、
その後別な会社でも、
FX取引で100億円超の資金を集めていたことが発覚したようです。


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2009年8月4日(火)

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