弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第492回
リスクの説明を受けていない

第488回で、「証券会社を訴えたい
というコラムを書きましたが、
偶然、9月15日の「ガイアの夜明け」(テレビ東京系列)
という番組で、証券会社が販売した金融商品について、
リスクに関する説明がなかったことなどを理由に、
販売した証券会社を集団で訴えたことが取り上げられていました。

番組で取り上げられた商品は、
不動産の投資ファンドで、
投資資金で、賃貸不動産を購入し、
賃料収入や売却益で配当するというものだったと思います。

1口100万円で、その100万円が
3万円になってしまったということなのです。

97%も減額してしまう商品は、
どういう商品かと番組を見ていましたら、
ファンドの仕組みは以下のようなものだったようです。

ファンドは、不動産購入資金を、
投資資金で2割、8割を借入で賄っていたようなのです。

ファンド全体を10億円とすると、
2億円が投資資金で8億円が借入金となります。

10億円は、全額不動産購入に当てられたとしても、
2割値下がりしてしまうと、
ファンドは8億円になってしまい、
これが借入金の返済に当てられてしまうので
投資資金がゼロになってしまうというわけです。

そこで、100万円が
3万円になってしまったということのようです。

この不動産が2割下がったら、
元本を失うかもしれない
というリスクを説明しなかったことを理由に、
証券会社相手に訴訟を提起したようなのです。

これに対し、証券会社は、
説明義務を果たしたという主張のようです。

確かに、不動産の価格は、
2割くらいは、簡単に落ちますから、
それで、元本が無くなってしまうのであれば
かなりのリスク商品となります。

番組では説明はありませんでしたが、
先ほどの説明からすると、逆に、2割上がると、
元本は2倍になる可能性もあったかもしれません。

正に、ハイリスク・ハイリターンの商品ですね。
金融商品販売法では、
元本割れのリスクは、
元本割れのリスクの有無や
どういうときに元本割れをするか
説明しなければならないとされており、
この説明義務に違反した場合、
証券会社などは損害を賠償する責任を負うこととなっています。


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2009年9月29日(火)

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