弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第510回
週末起業は許されるか?

前回、週末起業をする人が増えているという話をしました。
ところが、普通の会社の就業規則には、
兼業禁止の規定があります。

そこで、週末起業は許されないのではないか
ということが問題となります。

どうして就業規則で兼業が禁止されているかというと、
以下の3つの理由に基づきます。

1つは、
業務時間外や休日は、
精神的・肉体的な疲労を回復させるための休養に当てるべきで、
兼業はこれを妨げる
ということにあります。
したがって、次の日の仕事に差し支えるほどの兼業は
許されないということになります。

2つ目は、
兼業を禁止することにより、
企業秩序や対外的信用を守ることが目的となります。

このことからすると、
風俗関係などの仕事は許されないと思います。

兼業が禁止されている3つ目の理由は、
従業員が勤務している会社と同業を営む、
あるいは同業の会社で働くことにより、
本来、会社に入るべき利益が入らなくなるおそれがあるし、
会社の秘密が他の会社に漏れるおそれがあるので
これを防ぐという競業禁止

という目的があります。
これにより、勤務している会社が
行っている業種の仕事を行うことはできない
ということになります。

兼業が禁止されている理由は、
以上のようなものです。
逆を言えば、これらに違反しなければ、
兼業も許される余地があるということです。

例えば、肉体的・精神的に
翌日の仕事に差し支えはない程度の仕事で、
仕事の内容も世間的に問題はなく、
勤務している会社の業務とは全く関係がないような仕事です。

ただ、自分で兼業禁止の趣旨には反していないと判断すると、
会社にばれたときに、
不利益な処分を受ける可能性もあり危険なので、
週末起業を行う場合、
自分の勤務する会社から許可を得た方が良いと思います。


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2009年12月1日(火)

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