弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第537
予想に反して弁護士会会長が決まりました

みなさんに謝らなければなりません。
先日、コラムで日本弁護士連合会の会長選で、
弁護士会の会長になるには、
通常の選挙と比べて特殊なルールがあるので、
再投票をしてもなかなか決まらないのではないか
とお話したのですが、
2回目の投票であっさりと決まってしまいました。

前回の投票では、
東京・大阪の弁護士会の主流派から支持を受けていた候補者が
多数の得票を取ったけれども、
弁護士会の3分の1で
トップを取らなければならないルールに阻まれ、
当選できませんでした。

他方の今回当選した候補者は、
地方の弁護士会でトップを取った数は
52の弁護士会中40を超えましたが、
得票数で1000票もの差をつけられていました。

僕の予想では、東京・大阪の主流派から
支持を受けている候補者は、
数で負けることはないけれども、
弁護士会の3分の1でトップを取るのはなかなか難しいので、
再投票しても、
当選者は決まらないのではないかというものでした。

しかし、地方の弁護士会や
若手弁護士の弁護士増員に対する危機感
あるいは不満、不安が大きかったのでしょう。

あっさり、主流派支持と思われた大阪でも逆転し、
弁護士増員数の抑制を唱える候補者が
総得票数でも逆転してしまいました。

僕も、これまでしてきたような極端な弁護士増員は反対です。
数を増やせば質は落ちることになる上に、
就職できない弁護士はきちんとした指導を受けずに
仕事を引き受けることになります。
また、収入を確保するために、不適切な依頼を受け、
不適切な行動を取る弁護士が極端に増えるおそれもあります。

もちろん、急激に弁護士を増やせば、
今後弁護士の過当競争が行われることに対する不安もあります。

しかし、弁護士会がなぜ
極端な弁護士増員を受け入れざるを得なかったのかというと、
それまで弁護士あるいは弁護士会が、
敷居が高く企業や個人に
十分なアクセスを確保してこなかったからにほかなりません。

だから、弁護士増員の抑制を仕事がないとか
就職できないなど弁護士側の事情や
弁護士会の選挙で決まったからと説明しても通らない話でしょう。

弁護士増員は、弁護士への
アクセス障害を取り除くために行われるはずだったけれども、
そこまで極端に増やさなくても
既にアクセス障害はあまりない状態になった、
と言えなければ、
国やみなさん、その他弁護士会の外部の人たちに、
納得してもらうことはできないと思います。


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2010年3月16日(火)

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