弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第538回
ライブドアの元社長が差押を受けた

新聞報道などによると、
ライブドアの元社長が、ライブドアの元株主から、
テレビやワインセラーなどの差押を受けたようです。

元社長本人は、ブログで、いろいろ文句を言っていますが、
一審判決が出て、元株主とは、和解はしておらず、
差押をした元株主に対しては、
支払もしていないのですから、
財産を差し押さえられても当然です。

さて、この家財道具などの差押については、
お金を支払わなければならない債務者が、
家に、現金や貴金属など換金性が高く、
価値の高いものを持っていなければ、
費用や労力がかかる割には、
回収が見込めないのであまり意味がありません。

今回の差し押さえた財産は、
33万5000円だそうですが、
それは、家財道具の差押としては、まあまあいい方です。

エアコン、冷蔵庫など生活に必要なものは、
差し押さえができない上に、
差押ができたとしても中古の家財道具は
売りに出しても買う人がいないからです。

これが、個人でなく、きちんと営業をしている店舗であれば、
商品や売上金などを差し押さえることができて、
個人の家財道具よりは、回収が見込めます。

この差押について、元社長は、何の前触れもなく、
鍵屋を使って勝手に忍び込むのが
コソ泥並みというようなことをブログで言っています。

しかし、判決が出ても任意にお金を払わない人に対して、
差押をするのです。

そういう相手に、
「いつ差押に行きますから、鍵を開けて待っていてください。」
などと予告したら、
金目の物は持ち出して隠されてしまうでしょう。

しかも、裁判所の職員や債権者が来ると知ったら、
鍵をかけてどこかに行ってしまいます。

だから、差押は、
債務者に予告なしにいきなり家に来て行われるのです。
そして、鍵がかけられても、
家の中に入って、差押ができるように、
鍵屋を連れて行って、
裁判所の職員が勝手に鍵を開けて入れることになっているのです。

鍵をかけただけで、差押ができなくなるなら、
みんな鍵をかけて、差押が妨害されてしまいます。

このように、法律は
ある程度強制的に判決を実現できるようにしています。


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2010年3月18日(木)

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