弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第575回
妻の浮気が原因でも財産分与?

離婚すると、結婚してから
離婚するまでに築いた財産を夫婦で分けることとなります。

これを「財産分与」と言います。
夫と妻の取り分は、原則として2分の1ずつです。

名義が夫名義でも、妻名義でも、関係ありません。
結婚してから、
築いた夫名義と妻名義の財産を合算して
2分の1ずつに分けるのです。

当たり前ですが、結婚してから離婚するまでに、
たくさん財産を築いた方が、分ける金額も多くなります。

この財産分与は、
どちらに離婚の責任があるかは、関係ありません。

離婚の責任がある方が、慰謝料を払います。
例えば、5000万円の自宅(夫名義)と
1000万円の預金(夫名義)の
合計6000万円が夫婦の財産だとします。

夫の浮気で、離婚する場合、夫が妻に、
慰謝料として300万円を支払い、
財産分与として、3000万円を支払うことになります。
即ち、夫は妻に、
3300万円を支払うことになるのです。

では逆に、妻の浮気で、
離婚することになった場合はどうなるかと言うと、
妻が慰謝料として300万円を支払い、
夫が妻に財産分与として3000万円を支払うこととなります。

差し引きすると、
妻は2700万円をもらえることとなります。

妻が浮気して離婚するのに、
夫は妻に2700万円も支払わなければならないのかということで、
ちょっとおかしい感じがします。

しかし、夫婦の財産は夫婦2人で形成したもので、
結婚後に築いた財産は、名義は仮に夫名義でも、
法律上は、半分ずつ持っているのと同じです。

先ほどの例では、全て夫名義としていますが、
法律的には、自宅は夫と妻の名義が2分の1ずつにしてあり、
預金も500万円ずつ夫名義の預金と
妻名義の預金があるのと同じなのです。

だから、浮気した妻でも、
当然、3000万円をもらう権利はあるわけです。

もちろん、浮気したことについて
慰謝料300万円は払わなければなりません。


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2010年8月10日(火)

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