弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第576回
約20億円の詐欺未遂

以前「スケベ心で大変な被害に」というコラムで、
女子高生に対し、淫行を行った有名企業の元会長が、
マスコミにばらすと脅されて、
お金を800万円も取られた上に、
さらに、権利を譲り受けたと主張する事務所からも
約19億円もの損害賠償請求を受けているというお話をしました。

その続報です。
何と、女子高生に関する権利を譲り受けたと主張し、
約19億円もの請求をするために、
訴訟まで起こしていた事務所の社長が、
詐欺未遂で逮捕されたのです。

読売新聞によれば、逮捕理由は、
今年3月、事務所所属の女子高生が出演予定だった
映画制作話などをでっち上げ、
「元会長のわいせつ行為で女子高生と連絡が取れなくなり、
映画制作に支障が出た」
などと損害賠償を求めて
東京地裁に提訴し約20億円をだまし取ろうとした疑いだそうです。

だいたい、警察は、民事絡みの事件は、
民事不介入を理由に、
取り上げてくれないことが多く、
民事で解決してから刑事告訴に来てください
という感じになることが多いです。
特に民事が裁判になっていれば、
なおさら、民事の裁判で決着が着いたら来てください
ということになります。

また、お金を取っていない未遂事件については、
被害が発生していないことから、
これも、なかなか事件として
取り上げてくれないことが多いです。

しかし、この事件では、
加害者が元暴力団員だったためか、
被害者が有名企業の元会長だったためか、
請求金額が約20億円と巨額な金額だったためか、
それとも、事務所所属の女子高生が
出演予定だった映画制作話などが
でっち上げだということを裏付ける証拠があったためなのか
詐欺未遂事件として立件され、容疑者が逮捕されました。

民事絡みで、なかなか珍しい事件なので、
コラムで取り上げてみました。


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2010年8月12日(木)

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