弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第619回
2万円のおせちを1万円で購入できる

一定の数の顧客が集まれば、
安く商品が手に入れられる共同購入サイト。
日本でも、以前からそういうビジネスモデルがあったようですが、
アメリカで成功した有名な企業が日本市場に参入したことから、
マスコミで取り上げられるようになり話題となっていました。

この共同購入サイト、正月早々、
「ホームページの見本と異なる」
あるいは、
「到着したときに嫌なにおいがした」
「とても2万円とは思えない」
などという意見が相次いだおせちが届いた
というトラブルが発生したことは、
みなさん、ご存じのとおりです。

この共同購入サイトは、
100とか200とか顧客を多数集めることにより、
店側は一定の売り上げが見込めることから、
値段が通常の半額くらいになるというビジネスモデルです。

店は一定の売り上げが見込め、
多数の商品販売が見込めるからコストも安くできる。

他方、顧客は商品を安く手に入れることができるということで、
これが本当なら、店にも顧客にも
メリットが大きい良いビジネスモデルだと思います。
しかし、そこで、問題となってくるのは、価格です。

「通常2万円の商品を1万円で提供します」
という売り方をすると思いますが、
本当に通常2万円で売っている事実はあるのか、
ということが問題となります。

通常2万円で売った事実がないにもかかわらず、
通常2万円の商品と表示することは、
「不当景品類及び不当表示防止法」(通称「景品表示法」)
に違反することとなります。

景品表示法では、価格や品質を実際のものよりも
著しく優良であると誤信させる表示をすることを
禁止しているからです。

これまでも、クーポン券などを持っていくと
通常いくらの商品を半額でというサービスはあり、
実際に行ってみてちょっと怪しいなと思った経験が、
みなさん、おありだと思います。

共同購入サイトは、一時的なものでなく、
それを売りにして、ビジネスモデルを構築しているのですから、
景品表示法に違反するようなことがないようにするのは
もちろんですが、
どうせ通常倍額でなんか売ってないものだと思われたら、
ビジネスモデルとして成り立たなくなってしまいます。

共同購入サイトのビジネスは、
まだ始まったばかりともいえるので、
共同購入サイト運営会社のみなさんは、
通常の販売実績をチェックして、信頼のあるサービスを提供し、
店にも顧客にもメリットのある
ビジネスモデルを築いてもらいたいと思います。


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2011年1月18日(火)

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