弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第644回
社長が変わると利益が増える?

先日、日経新聞の経済教室に、
業績が悪化している企業では、社長が変わったら、
利益が増加したという刺激的な見出しが書かれていました。

論文を読んでみると、一定期間について、
社長交代と企業業績の関係を調査したところ、
業績が悪化している企業は、
社長交代によって利益が増加しているけれども、
業績が悪化していない企業では、社長交代をしても、
利益が増加することは見られなかったということでした。

では、業績が悪化している企業は、社長を交代すれば、
利益が上がるかというとそうでもなくて、
新しい社長が外部から選ばれたときに
利益が増加することが認められ、
もともとその企業にいた従業員や役員が新しく社長になっても、
利益の増加は認められなかったようです。

この論文は、これがどうしてかという原因の分析をしておらず、
このことを前提に、
会社の経営をどうするかということが書かれていました。

さて、僕が推測するに、社長が変わると利益が増加するのが、
業績が悪化している企業のみであること、
しかも、新社長が外部から選ばれたときに
利益が増加することからすると、
この増益は、社長交代が主な原因なのではなく、
厳しいリストラがなされたことが原因なのではないかと思うのです。

業績悪化企業では、業績を回復するためには、
一般的に、リストラにより経費節減が行われます。

新社長がもともとの従業員や役員であると、
過去のしがらみがあり、厳しいリストラができないので、
社長が交代しても、
あまり増益が認められなかったということなのではないでしょうか。

外部から新社長が来て、売り上げが伸びて、
利益が増加したというわけではないと思うのです。
この論文での調査で、
利益の増加原因が売り上げの増加で増益だったのか、
経費節減により増益だったのか、
そこまで調べてもらいたかったところです。

ただ、リストラの結果であれ、業績悪化企業では、
社長を外部から招くと増益が見込まれるのですから、
株主としては、業績が悪化している場合は、
外部から新社長を呼んだ方が良いということにはなりそうです。


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2011年4月14日(木)

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