弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第657回
お金の支払約束は、公正証書

前回から、
公正証書にしておいた方が良い場合の説明をしています。
1つは、前回お話しした遺言書です。

公正証書にしておいた方が良い、
もう1つのケースは、お金の支払い約束です。
それはなぜかと言うと、
お金の支払い約束を、公正証書にしておくと、
お金が約束通り、支払われなかったときに、
公正証書で、相手の財産を差し押さえることができるからです。

裁判をして、判決を取る理由の1つに、
判決で、相手の財産を差し押さえるということがあります。

一般的に、裁判をするには、
弁護士を依頼しなければなりませんから、
お金がかかります。

しかも、裁判を起こしてから、
判決が出るまでに、早くても、
1か月から2か月はかかってしまいます。

お金の支払いについて、公正証書にしておけば、
裁判をしなくても、差し押さえができますから、
裁判をして判決を取る必要がありません。

したがって、お金の支払いについて公正証書にしておくと、
裁判をする弁護士費用も、
裁判をする時間も、節約することができるのです。

お金を支払わない相手が、
自社ビルや自宅など不動産を持っているときは、
裁判をして判決を取るまでに、売却されないように、
仮差押えという手続をしたりします。

仮差押えは、
判決が出る前に相手の財産を差し押さえることを認めるので、
契約書などの証拠を要求されますし、
請求金額の2割から3割を担保として、
供託しなければなりません。

公正証書にしてあると、
この仮差押えの手続きをせずに、
いきなり差し押さえができるので、
証拠も、保証金も必要ないのです。

このように、お金の支払いの約束については、
公正証書にしておくメリットはたくさんあります。
だから、お金の支払約束については、
公正証書を作成することをお勧めするのです。


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2011年6月2日(木)

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