弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第710回
弁護士にならない卵が400人

最近、弁護士がマスコミに取り上げられるのは、
弁護士の就職難という話題が多いので、
このコラムでも、取りあげる頻度が多いような気がします。
申し訳ありません。

さて、司法試験に合格し、
司法研修所も無事卒業し、
弁護士登録をしようと思えばできるのに、
弁護士登録をしない人がいるという話を
少し前にしたと思います。
今回は、その続報です。

朝日新聞によれば、
弁護士登録をしようと思えばできるのに
しない人の数、何と400人。
みなさん、400人という数字は、
あまりピンと来ないかもしれません。

しかし、僕が司法試験に合格したころの
司法試験の合格者数は、
そもそも500名から600名でした。

400人というと、
そのころの合格者の数に迫っています。
そんなにたくさんの弁護士の卵
(司法修習生)が就職できないのです。

この人たちは、弁護士登録をしていないので、
就職できないだけでなく、
自分一人で弁護士の業務をすることもできないのです。

司法試験に合格して、弁護士、裁判官、検察官にならない人を、
こんなにたくさん輩出して意味があるのかと思ってしまいます。

うがった見方をすれば、
弁護士があまりにも従来の業務範囲に拘っているので、
これだけ多くの行先の定まらない合格者を出せば、
その中から、生活のために
新たな分野を切り開くだろうということで、
わざと大量に就職できないものを
出しているのではないかなどと思ってしまいます。
(もちろん冗談です)

社会的にも、
大学生も就職できていませんから、
日本経済の影響によるところは大きいと思いますが、
それにしても、以前の年間合格者くらいが
弁護士にならない(なれない)とは、
この状況を変えなくてよいか
検討しなければならない時期に来ていると思います。


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2011年12月22日(木)

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