弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第726
投資顧問で2000億円が消失?

新聞やテレビのニュースによれば、
高収益を上げていることで評判の高かった投資顧問会社が、
顧客から預かり運用していた約2000億円が消失したということです。

この投資顧問会社は、顧客等対外的には、
利益を上げていないのに
高収益を上げていたと説明していたようです。

最初から、運用する気がないのに、
運用すると言って、
顧客からお金を預かっていたのであれば、詐欺になります。

あるいは、高収益を上げていないのに、
高収益を上げているという虚偽の説明をして、
お金を預かったというケースでも、詐欺になります。

お金を預かった後に、運用に失敗し、
それを隠すために、高収益を上げている
という説明をしていたとすると、
これは、詐欺にはなりません。

報道によりますと、この5、6年で、
運用実績が高かったことから
急速に年金契約を獲得したということですから、
高収益を上げていないのに、
高収益を上げていたと虚偽の説明をして、
顧客からお金を預かっていたという可能性が高いです。
そうなると、詐欺になる可能性が高いです。

投資顧問業は、基本的に、
第三者の監査を受ける義務はないので、
収益や財務内容について嘘をつこうと思えば、
いくらでも嘘がつけてしまうということとなります。

投資顧問業にお金の運用を任せるときには、
義務ではなくても、
きちんと監査がなされているのかなどを
チェックする必要があります。
監査法人や会計士と投資顧問業がグルになれば、嘘はつけますが、
監査法人などは、虚偽の監査を行えば
顧客から損害賠償請求を受けることとなりますので、
そうそう虚偽の監査をすることはないと思われます。

実際は、監査法人に監査を依頼している投資顧問業は、
少ないかもしれません。
今回の事件は、真面目にやっている会社には迷惑な話ですが、
投資顧問業という業態が、
容易に嘘をつくことが可能な危ういものだということを
世間に知らせることになりました。

この経済状況の中で、
連続して高収益を上げるといううまい話は
なかなかないということですね。 


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2012年3月1日(木)

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