弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第731回
お金を預けるのは危険

今回、200億円が消失してしまった
投資顧問業のケースを見てもわかるとおり、
他人(会社でも同じです)にお金を預けるのは危険な行為です。

だから、以前は、
一般の人からお金を預かる業務を行う会社については、
ものすごい規制がなされていました。
銀行、証券、保険は、法律で強い規制がなされていました。
その代りに、法律で保護もされていました。

それくらいしないと、
他人からお金を預かって営業する場合に、
そのお金を自分のために使ってしまうとか、
投資に失敗してそのお金を無くしてしまう
ということになってしまうのです。

しかし、それでは、金融業として、創意工夫をしたり、
新しいビジネスチャンスに進出したりすることができず、
金融業の発展は見込めず、
金融のグローバル化に対応できないということで、
金融の自由化がなされました。

そこで、今回の事件の投資顧問業も、
営業をするのに国の審査を受ける認可制から、
届け出制へと変更されたのです。

しかし、金融の自由化により規制が緩和されたからと言って、
お金を預ける行為の危険性に何ら変わりはありません。

これまでは、国が危険な行為をするかどうか
営業を開始する段階で審査してくれていましたが、
今は、国は、事後規制で、取り敢えずやらせて、
悪いことをしたら
営業を取りやめさせるということにしたのです。

今回の投資顧問業は国へ届け出をさせる
ということでかろうじて国が関与しています。
違法なことをすれば、罰則があり
営業が停止になるということわかっていたわけです。

それでも、こんなに大規模に
嘘の説明がなされてお金を集める行為が行われ、
その結果、その巨額のお金は消えてしまったのです。

そうだとすれば、国の関与もなしに、
他人からお金を預かっている人たちは、
やりたい放題ということですね。

もちろん、後で詐欺やその他の法律に違反する
と言われる可能性はありますが。
投資詐欺が後を絶たないのは、このためです。

だから、お金を預けるときは、
お金を預ける行為は戻ってこないリスクがある危険な行為だと
十分認識した上で行うようにしてください。


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2012年3月22日(木)

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