弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第758回
巨人軍監督を責めるのは?

巨人軍監督が女性問題に絡んで、
反社会勢力に1億円の利益供与をしていたという報道がなされました。

新聞やテレビでは、
監督と巨人側が支払った相手が反社会的勢力でないのに、
反社会的勢力に支払ったという内容が
名誉棄損だと主張していることから、
支払った相手が反社会的勢力かどうか、が
争点になってくるという報道でした。

ただ、マスコミでは、
「相手が反社会的勢力なのだからお金を支払わずに、
弁護士に相談し警察に被害届を出すべきだった。
支払ったことはけしからん。」
というものが多かったように思いました。

僕も、民事介入暴力事件を結構取り扱いますし、
確かに、反社会的勢力にはお金を支払わないのが原則です。
そして、監督は安易に支払ったため、追加で請求が来たようです。

だから、安易に、お金を支払ったのは失敗だったと思います。
(ただし、追加の請求については、警察に相談し、
支払わずに解決したようです。)

しかし、巨人軍監督は、あくまでも被害者です。
女性問題について世間にばらすと脅されれば、
巨人軍監督は有名人ですから、それを防ぐために、
お金を解決しようとしたところで、
責められるべきではないと思います。

悪いのは、あくまでもそこに付け込もうとした
反社会的勢力(?)なのです。

マスコミが報じるべきは、巨人軍監督の女性問題や
反社会的勢力に金銭を支払ったことではなく、
このように脅迫された場合、
警察等がどうやって被害者の女性問題等のプライバシーを守り
警察に被害届や刑事告訴を出しやすくするかということだと思います。

そして、このような犯罪が無くなるには
どうしたらよいかということなのです。

今回のように、マスコミが被害者である
巨人軍監督をさらし者にするようだと、
かえって、被害者は、
ばれるとマスコミに騒がれて社会的地位を失ってしまうから、
お金を支払って解決してしまおうと考えてしまい、
結局、反社会的意勢力の思うツボになってしまうと思うのです。


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2012年6月28日(木)

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