第120回
これでも中国のマンション買いますか?

私が賃貸で公寓と呼ばれる外国人用マンションに住んでいる、
という話をすると、中国人の友人はみんな、
「住宅ローンを組んででも、買っちゃいなさい!」と言います。
確かに、ローンを完済すれば、
住宅という「資産」が残りますから、
賃貸より有利なのかもしれませんが、
それでも、私が中国でマンションを買う気が全く起こらないのは、
中国でマンションを買うに当たっては、
日本では考えられない様なリスクが伴うと考えているからです。

まず、工事が杜撰である可能性が高い事です。
新築の時は何の問題も起こらないかもしれませんが、
3年、5年と住んでいく内に、
壁が剥げ落ちたり、水周りが悪くなったり、
という事が往々にして起こり得ます。
あるセメント会社の北京駐在員の方の話によれば、
地元のセメント会社の中には、利益率を上げる為に、
セメントの中に色々な混ぜ物をしている会社もあるそうです。
そういう会社のセメントで作られたマンションは、
数年もするとボロボロになってしまう、との事です。
しかし、我々素人には、マンションの建設に使われたセメントに
混ぜ物がしてあるかどうかなど分かりません。
5年経ってからクレームした所で、
「お前の使い方が悪い」と一蹴されるのが落ちです。

又、入居時の約束が反古にされる可能性もあります。
私が以前住んでいた、北京の北東部の郊外に位置する
「望京新城」というニュータウンでも、
当初、緑地になる予定だった敷地に、
城市開発というデベロッパーが
何の説明も無く変電所を建設し始め、大変揉めていました。
約束を反古にされた住民は、毎週土日、抗議集会を開き、
そこらじゅうの壁に「我々の緑地を返せ」とか、
「城市開発の嘘つき」などのスローガンを
ペンキで書きまくっていました。

その抗議集会をしている人から、
当初計画の緑地のイメージ図を見せてもらったのですが、
そこは確かにすばらしい緑地になる予定だった様です。
マンションを出たら、すぐに緑地がある、
そんな素敵な生活を夢見て、
かなり無理なローンを組んでやっと入居したと思ったら、
緑地が変電所になってしまいました。
そりゃ、怒るわな、普通。

下の写真は、邱さんが所有する「三全公寓」に近い
麦子店の緑地に建設される予定のマンションに、
地域住民が反対しているものです。
最近の北京では、以前は全く無かった「住民運動」が
至る所で起こっています。
これも住宅という資産の「所有」を個人に許した、
資本主義化の産物と言えるでしょう。


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