第152回
「お願いですから、仕事ください」

先週ご紹介した「体力系」「IT系」「芸術系」の
日本企業3社からの中国業務受託が、
現在、当社の主な事業となっています。
この他にスポットで、日本語と中国語の翻訳、
活性炭の日本への輸出、中国の骨董家具の日本への輸出、
中国企業の信用調査などの仕事をしています。

開業に当たっての事業計画では、
業務委託手数料を月15万円に設定して、10社から委託を受ければ、
月間の手数料収入は150万円になりますので、
事務所の経費、個人の生活費を補って余りある収入の確保が可能、
と考えていました。
月15万円の業務委託手数料ならば、
日本で中国要員を1人雇うよりも安いですし、
本気で中国ビジネスを考えている会社ならば、
中小企業であっても、この程度の金額は払えるだろう、
と考えました。
又、これだけ中国ビジネスが拡大しているにも関わらず、
競合相手がほとんど存在しないこのビジネスで、
10社の契約を取る事は然程難しい事ではない、と思いました。

しかし、実際、始めてみると、
月15万円の業務委託手数料も払いたくない、
という会社がほとんどである事が分かりました。
「成功報酬なら使ってやっても良い」と言われ、
交通費、サンプル送付費用などの経費も全て持ち出しで、
中国の工場と何度もやり取りして、
やっとその日本企業が求めている商品に
近いものに仕上げたのですが、
一言「これじゃ、ダメだ」と言われ、
それまでにかけた労力と費用が
一瞬にして水の泡になってしまった、
という事もありました。

買う側の日本企業は全くのノーリスクですので、
日本で作っている製品と同じレベルのものが出て来るまで
「ノー」と言い続ければ良いのです。
しかし、こちらは吹けば飛ぶ様な零細企業。
そんなのに付き合っていたら、
すぐに資金が底をついてしまいます。

以後、成功報酬の仕事は原則として受けない事にして、
最初からお金を払ってくれる会社を探す事にしました。
「最初は委託する業務の量が少ないので、
月15万円も払いたくない」というお客さんもいるかと思い、
中国でのビジネスが軌道に乗るまでの間は、
30分2,500円で働いた時間分だけ料金を徴収する、
というシステムも始めました。

この2年間の経験から学んだのは、
「お願いですから、仕事ください」と
こちらからお客さんにアプローチをすると、
不利な条件で仕事をせざるを得なくなる、という事です。
営業とは、如何に当社のサービスを必要としている人や、
価値を感じてくれる人を探すか、という事が重要であり、
それほど必要としていない人に無理に売り込んでも、
後で大変な思いをするだけだと言う事が、よく分かりました。


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