第185回
「宿題が多すぎてかわいそう」

私のパートナーの劉さんには、
小学校1年生の青雲(ちんゆん)という娘がいます。
最近の劉さんの悩みは、青雲の教育に就いてです。
教育に就いての悩み、というと普通
「勉強しなくて困っている」という話かと思いますが、
さにあらず、
実際は「宿題が多すぎてかわいそう」というものでした。

劉さんによれば、学校では毎日、
中国語、算数、英語の3教科で大量の宿題が出されるそうです。
青雲は毎日学校から帰って来るとすぐに宿題に取り掛かり、
夕食を挟んでずっと宿題をやり続けるのですが、
夜10時になっても終わらないそうです。
青雲はまだ7歳なので十分な睡眠時間をとらなければいけないし、
家に帰ってから遊んだり、テレビをみたりしたい年頃なのに、
毎日夜遅くまで宿題に追われてかわいそうだ、
というのが劉さんの悩みです。

青雲に限らず中国の学生には、
小学生から大学生までずっと大量の宿題が出され続ける様です。
このため、日本のマクドナルドでは、
アルバイトの女子高生が笑顔で注文をとってくれますが、
中国のマクドナルドのカウンターはおばさんばかりです。
学校がアルバイトを禁止している、という事もありますが、
禁止していないとしても大量の宿題をこなさなければならないので、
アルバイトなどしている暇はありません。

こうした厳しい勉強をこなして、
競争を勝ち抜いて大学に進学する人は、
以前より多くなったとは言え、
進学適齢期人口の約14%、7人に1人です。
50%弱、2人に1人が大学に進学する日本と比べると、
中国では大学生はまだまだ「学士様」です。

大学に入っても安心は出来ません。
厳しい宿題と試験をこなしていかなければ、
卒業証書を手にする事は出来ません。
そこは日本よりむしろ、アメリカの大学に似ています。

街を歩いていると「
(びーいぇぢょん、べいだー、ちんほわ、
卒業証書、北京大学、清華大学)」と声を掛けられる事があります。
この人たちは大学のニセ卒業証書の売り子です。
中国では大学の卒業証書は、厳しい勉強をこなして、
競争を勝ち抜いてきたエリートの証となります。
生ぬるい日本の大学の卒業証書とは訳が違います。
それだけの価値があるものだからこそ、
ニセモノが出回る、という見方も出来ます。


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