第192回
POSの功罪

日本に帰国すると
おいしいお寿司やおいしい焼肉を食べるのも楽しみなのですが、
コンビニに行くのも楽しみです。

以前、「北京からの画像便り」でもご紹介したのですが、
北京にも「快客(くゎいくぁ)」など、
中国系のコンビニは1年ほど前からチェーン展開し始めています。
しかし、日本のコンビニとは違って、
置いてある商品は、何かいかにも日持ちのしそうなものばかりで、
実際、商品の回転も悪そうですので、
どうせ同じものを買うなら、
ちょっと足を伸ばしてでもスーパーまで行って、
埃をかぶっていないやつを買いたいな、
と思わせる様なレベルの低さです。

一方の日本のコンビニは、明るくてきれいで、
お弁当やサンドイッチなど日持ちのしないものも置いてありますし、
商品の回転が良く、全ての商品が新鮮な感じがします。
店内をぐるっと見て回るだけでも、
今、どういう商品が売れ筋なのか、
という事が分かって、楽しいです。
SARSの影響で準備が遅れてしまった様ですが、
今年はいよいよセブンイレブンが北京で出店を開始しますので、
私を始め、北京の日本人はみんな非常に楽しみにしています。

日本のコンビニがこんなに楽しい場所になったのも、
ひとえにPOSシステムのお陰かと思います。
売上のデータをリアルタイムで集計し、
売れ筋商品は残し、死に筋商品は入れ替える。
こうすると、コンビニの棚には
常に売れ筋商品が並ぶ事になりますので、
消費者としては魅力のある商品が多くなり、
楽しい所になるんですね。

我々消費者は、POSのお陰で楽しませて頂いているのですが、
食品や飲料メーカーの方々は大変です。
自社の製品をコンビニの棚に残す為には、
次々と新しい商品を投入しなければなりません。

先日、半年ぶりぐらいに日本に帰って、コンビニに行った所、
ビールも缶コーヒーもスナック菓子も、
半分以上が初めて見る新製品だったのでビックリしました。
北京では、地元の燕京ビールも、日本のアサヒビールも、
新製品は2-3年に1回、出るか出ないか、という感じです。

1つの新製品を世に出す為には、
マーケティング、企画、デザイン、試作、広告、セールス、生産と、
多大な労力と経費が必要です。
POSのお陰で競争が激しくなり、次々と良い製品が生まれる事は、
我々消費者にとっては有り難い事なのですが、
社会全体の効率という観点から見ると、
新製品のビールが早い周期でどんどん淘汰されてしまう日本よりも、
1銘柄のビールが何年も飲まれ続ける中国の方が、
効率が良い様な気がします。


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