第198回
「時間節約ビジネス」

日本にはお客さんの時間を節約する事によって、
商売として成り立っている、
いわゆる「時間節約ビジネス」がたくさんあります。
例えば、インターネットショップ。
電気製品でも本でも、
インターネットでちょっちょっと操作すれば、
ものの5分で買物が完了してしまいます。

しかし、今の中国ではこれはかえって迷惑です。

父「さぁ、今度の土曜日は、
みんなで新しいテレビを買いにいくぞ!」
母「そうね、いろんな電気屋さんに行って、
どこが安いか比べて買いましょうね」
子「どこから回る?大中電器?それとも蘇寧電器?」

とせっかく家族で盛り上がっても、
インターネットでテレビが買えてしまうと、
今度の土曜日、やる事が無くなってしまいます。

日本で既に普及しているサービスを、
そのまま中国に持ってくるだけで、
商売として成り立つ様なものはたくさんありますが、
お客さんの時間を節約する事を売りにする様なものは、
今の所、中国の一般庶民には
余り受け入れられないのではないかと思います。

しかし、この傾向にも一部で変化が起こっています。
外資系企業に勤める高額所得者や、個人企業の経営者などは、
この好景気の中、働けば働くほどお金が儲かりますので、
時間を重要視する傾向にある様です。
こういう人たちは、
休日を1日使って他の店より100元安いテレビを買うよりも、
インターネットで100元高いテレビを買う代わりに、
1日余分に働いて1,000元稼ぐ方が良い、と考えます。

こうしたニューリッチの人たちに対しては、
日本の「時間節約ビジネス」も有効です。
具体的には上記のインターネットショップ、テレビショッピング、
食事のデリバリー、お惣菜屋さんなどなど。
もっとお金持ちには、
日本のデパートの外商の様な売り方が
重宝がられるかもしれません。

今後、中国では「お金の節約よりも時間の節約」という人が
増えて行くものと思われます。
それに従い、今までは論外だった日本の「時間節約ビジネス」も、
中国で日の目を見る様になってくるのではないでしょうか。


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