第215回
中国女子大生就職戦線異状あり

女性も男性も平等に扱われる中国の職場ですが、
最近、異変が起きている様です。
先日、中国共産党機関紙・人民日報が伝えた所によれば、
女子大生の就職がどんどん難しくなっている様です。

経済成長が続く中国には、いくらでも職がありそうなのですが、
意外に就職率は低く、
大卒でも卒業してすぐに就職出来る人は、
70%程度に止まっているそうです。
こうなると、企業の人事担当者は買い手市場ですから、
選り好みを始めます。
選り好みの基準は、やはり日本と同じく学歴です。
採用は全国の重点大学と呼ばれる
名門大学の学生が優先となります。

しかし、北京大学や清華大学といった超名門大学の学生でも、
女性は敬遠されている様です。
「能力は高いかもしれないが、傲慢だ」というのが、
人事担当者の言い分です。
頭の良い女性は協調性がないので、
それなら、チームプレーを重視する男性を雇った方がよい、
という事です。

元々、中国の人たちはチームプレーが苦手です。
1人1人の能力は非常に高いのですが、
みんなで協力して仕事をしていく、
という事が余り得意ではありません。
ですから、中国の人たちに気持ち良く能力を発揮してもらうには、
1人1人の担当を明確に分けて、
その担当の業績に責任を持たせ、
業績が上がれば給料が上がる、
業績が下がれば給料が下がる、
という仕組みが有効です。

しかし、世の中、1人だけで完結する仕事ばかりではありません。
今後、中国企業が組織の効率化を進めて行くに従って、
日本人サラリーマンの様な
チームプレーの出来る人間の重要性が
益々高まっていくものと思われます。
そんな中で「能力は高いが、傲慢」な名門大学の女子学生は、
敬遠される傾向にあるのでしょう。

中国の女子大生の希望就職地は、
北京、上海、広州、深センの4都市に集中しているそうです。
この4都市で就職すれば、給料は他の都市より高いですし、
中国の最先端の都市ですので、
より高度な仕事をする事が可能となります。

この4都市に住んでいる学生は良いのですが、
地方の大学を出てこの4都市の企業に
就職しようとしている女子大生は、更に大変です。
新聞やインターネットで求人情報を調べて、
面接をしてもらえる事になっても、
火車(ほーちゃー、汽車)に十何時間も乗って
面接に行かなければなりません。
やっとの思いで北京に来て面接を受けても
「女性である」という他に、
「北京戸籍でない」という理由で、不利な戦いを強いられます。

地方大学の女子大生にとって、自分の能力を生かして、
大都会でバリバリ働く事は一つの大きな夢です。
しかし、その前には、「女性である」とか、
「北京戸籍でない」とかいう、
いくら努力しても変え様の無い、
大きな壁が立ちはだかっているのでした。


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