第359回
時代遅れの「黄金週」

今年の旧正月、
中国で言う春節(ちゅんじえ)は、
本日、2月9日です。
春節は太陰暦の1月1日ですので、
現代の太陽暦では、毎年、日にちが変わります。

中国の春節は、日本の8月のお盆の様に、
故郷を離れていた人が、1年に1回故郷に帰って、
親兄弟や親戚と一緒に過ごす時期、
という位置付けになっています。

ですから、春節前になると、
故郷に帰る人が殺到する為、
汽車の切符が全く取れなくなります。
特に最近は、以前に比べて、
田舎から都会へ出稼ぎに出る人が増えた為、
「民族大移動」の混乱は、
年々激しくなっている様です。

この春節の時期は
旅行会社にとっても書き入れ時です。
春節は春節の日から1週間、
中国全土が休みになりますので、
帰る故郷が無い都会の人たちも、
中国国内をあちこち旅行し、
「民族大移動」の混乱に拍車をかけています。

現在、中国では、1週間の休暇、
いわゆる「黄金週(ほぁんじんちょう、
ゴールデンウィーク)」が、
1年に3回あります。
春節と、5月の労働節(メーデー)、
そして10月の国慶節(建国記念日)です。

中国に駐在している日本人駐在員は、
この他に1月の正月休みと
8月の夏休みで1週間ずつ休みますので、
1週間の休暇が年に5回ある事になります。
駐在員の間では「日本の様に
1日1日の休みがばらばらとあるよりずっと良い」
と評判です。

この「黄金週」、
1999年に当時の朱鎔基首相が、
内需拡大と消費刺激の為に導入しました。
しかし、その後、中国は未曾有の好景気を迎え、
中国政府は、内需拡大と消費刺激どころか、
如何に加熱した景気を抑えるかに、
頭を悩ませています。

これを受けて、現在、中国政府内では、
「黄金週」を見直す事が検討されている様です。
具体的には、最も影響を受けるであろう
旅行業界を統括する国家観光局が
労働節と国慶節の「黄金週」の中止に同意し、
国務院の最終決定を待っている、という状態らしいです。

わずか5年余りで
時代遅れとなってしまった「黄金週」。
これも中国の変化のスピードが
モーレツに早い事を物語る事象の1つです。


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