第424回
日本人の「礼節の心」

ビジネスマンはなぜ、商談の時に、
スーツを着て、ネクタイを締めるのか。

それは、ビジネスの相手に対する「礼節の心」を
記号化したものが、スーツとネクタイだからです。
スーツとネクタイで商談に臨む、という事は、
商談の相手に「あなたを尊敬していますよ」という、
シグナルを送る意味があるのです。

私は中国企業と商談をする際には、
相手が普段着で出てくると分かっていても、
必ず、スーツを着ていきます。

夏の暑い日に、冷房のない
国有企業の会議室で商談をしていると、
汗だくになってしまい、
普段着で来ている国有企業の幹部に
「柳田さん、こんな暑い日に
スーツとネクタイで、暑くないですか」
と苦笑されたりします。

こういう時に、私が
「これが日本人としての礼節の示し方です」と言うと、
彼らの表情は一変し、非常に感心されます。
日本人の「礼節の心」は、
中国では非常に評価が高いのです。

海外に住んでみて、再認識したのですが、
「礼節の心」は、世界に誇る事のできる
日本人の美徳です。

もちろん、軽装化運動は、
地球温暖化防止の観点から見れば、
非常に合理的な選択ではあるのですが、
不合理だからと言って、日本人の美徳である
「礼節の心」を切り捨ててしまうのは、
あまりにももったいないと思うのです。

多分、今後日本では、
「クールビズですから」などと言いながら、
ノーネクタイ、ノー上着で
営業に行ったり、接客をしたりするバカタレが
たくさん出てくると思います。

地球温暖化防止という
誰も反対できない「錦の御旗」を振りかざし、
「礼節の心」を示す為に
スーツを着て、ネクタイを締め続ける人間を
「逆賊」扱いするような雰囲気が
醸成されない事を祈るばかりです。


←前回記事へ 2005年7月11日(月) 次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ