第474回
李宇春が「玉米」を熱狂させるわけ

今、中国で一番ホットな話題は
「超女(ちゃおにゅぃー)」です。
「超女」とは、
第458回 2億人をテレビにくぎ付けにする人気番組
でお話しした、湖南衛星テレビのオーディション番組、
「超級女声」の略です。

今年8月に放送された「超女」決勝戦の後、
決勝戦に参加した3人の女性は、
CDが発売されたり、
全国巡回コンサートをしたりで、
もう既に大スター扱いになっています。

特に、358万票のショートメール投票を獲得して優勝した
21歳の女性・李宇春は、圧倒的な人気を誇っています。
彼女のファンは「宇(ゆぃー)」の
「迷(みー、ファン)」ですので、
発音が同じということで
「玉米(ゆぃーみー、トウモロコシ)」と呼ばれ、
インターネットのたくさんのサイトに
「玉米掲示板」や「玉米ブログ」が掲載されています。

これ、知らない人が見たら、
トウモロコシの作付け状況の情報交換をしている
農民のサイトかと思ってしまいそうです。

「超女」は中国の産業界にも大きな影響を与えています。

「超女」のスポンサーとなった乳業大手「蒙牛」は、
「超女」の放送以降、
全ての工場の生産設備をフル稼働させても
追いつかないぐらいのオーダーが舞い込み、
うれしい悲鳴を上げているようです。

この「蒙牛」、後発ゆえに、
ブランドの確立、メディア戦略には
非常に力を入れている会社であり、
全国放送である中央電視台でコマーシャルを流すのに、
資本金の1/3に相当する額を投入した、
という伝説を持つ会社です。

さすが「蒙牛」。
「超女」でもきっちりと
メインスポンサーのポジションを確保しています。

これを見た中国企業各社は、
「超女」たちを自社のイメージガールにすべく、
激しい争奪戦を繰り広げているようです。
優勝者の李宇春に至っては、
契約金100万元(1,400万円)以上の
オファーが出ているようです。

これだけたくさんの「玉米」を熱狂させている李宇春、
さぞやかわいい女の子なのかと思いきや、
ご本人には大変申し訳ないのですが、
全然かわいくありません。

では、彼女はどうしてこんなに人気があるのか。

昨日までは自分たちと変わらない一般庶民だった
21歳の普通の女の子が、
「超女」参加をきっかけに、
努力したり、悩んだりしながら成長していく。

その「モーニング娘。」的な親近感が、
「自分たちの代表」という感覚を生んでいること。
「自分たちも努力すれば報われるかもしれない」
という希望を抱かせてくれること。

これらが彼女の人気の秘密なのではないでしょうか。


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