第525回
「21世紀の世界は日本無しでも回っていく」

先日、NHKのテレビを見ていたら、
21世紀の世界がどうなっていくのかについて、
識者が討論をする番組をやっていたのですが、
それを見ていてゾッとしてしまいました。

出てくるのは、
世界一の経済大国アメリカ、
世界最大の消費市場になろうとしている中国、
世界の景気を左右する石油の供給を押さえる中東諸国、
豊富な資源を背景に資源外交を繰り広げるロシア、
豊富な人材で世界のIT業界を席捲しつつあるインド、
などの国々。

日本はわずかに、省エネ技術、環境技術の話で
30秒ぐらい出てきただけです。
「21世紀の世界は日本無しでも回っていく」
と言わんばかりの展開です。

なんという、存在感のなさ!
いやしくも日本は、現状、
世界第2位の経済大国ですぞ!

21世紀の「勝ち組」は、BRICsに代表されるような、
国土が広く、人口が多く、資源がある国であり、
日本のような技術だけでのし上がってきた国は、
時代遅れになりつつあるようです。

では、国土が狭く、
人口もそれほど多くはなく、
資源もない日本が、
21世紀も世界の中で存在感を保ち続けるためには、
どうしたらよいのでしょうか。

一つは、日本という国を、
徹底的に高付加価値化することが必要だと思います。

他国の追随を許さないような
付加価値の高いモノやサービスを開発し、
それを海外市場に販売するのです。

他国がマネのできないような
高付加価値のモノやサービスの供給源となれば、
世界からも一目置かれる存在となりますし、
人口減少社会になって、GDPの総額が伸び悩んでも、
1人当たりのGDPは上昇し、
国民1人1人が豊かで幸せに暮らせる社会を
築くことができるのではないでしょうか。

そのためには、国民に対する教育の強化、
世界の頭脳が集まるような環境作り、
高付加価値化への国家予算の重点配分、
低付加価値労働力をカバーするための入国管理法の緩和、
など、様々な施策が必要となりますが、
これらの施策は、少子高齢化問題、年金問題など、
日本が抱える大きな問題を解決するための
切り札にもなり得ます。

そして、もう一つは、
中国となかよくすることです。

今後、中国は高度経済成長を続け、
世界一の経済大国になることが予想されています。
一方の日本も、現状、世界第2位の経済大国です。

この東アジアの経済大国2国が、
お互いの足りないところを補い合い、
協力していくことにより、
世界に対して、大きな存在感を
示していくことができるのではないでしょうか。

世界の中で存在感が薄れつつある日本。
この存在感の低下は、延いては、
国民の生活レベルの低下にもつながります。

日本国民の将来を考えた場合、
日本政府は神社に参拝して、
中国にケンカを売っている場合では
ないように思うのですが...。


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2006年3月1日(水)

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