第527回
「ニセモノ王国」中国

先日、近所の自由市場に野菜を買いにいったところ、
野菜を売っている農民のおばちゃんが、
おしゃれなベルサーチのTシャツを着ているので、
ビックリしてしまいました。

「改革開放政策のおかげで、中国の農民は、
ベルサーチのTシャツを買えるぐらい豊かになりました」
なんていう話ではもちろんなく、
このベルサーチはきっと、
というか、絶対、
その辺の服装市場(ふーじょわんしーちゃん)で
10元(150円)か20元(300円)で買った、
ニセモノベルサーチなのでした。

諸外国のみなさんからの批判にさらされ、
欧米ブランド品のニセモノ販売に対して、
取り締まりを強化しているとはいえ、
まだまだ、かなり堂々とニセモノブランド品が販売され、
また、たくさんの人々がそれらを買っている
「ニセモノ王国」中国。

しかし、その実態は、
日本の人たちが考えているものとは、
かなり違うのではないかと思います。

まず、中国のニセモノの特徴は、
ニセモノブランド品を
ホンモノと偽って高く売りつけようとするのではなく、
ニセモノはニセモノとして、
それなりの値段で販売するところにあります。

ニセモノの販売は中国でも違法ではありますが、
商売の倫理的にはヒジョーに正直です。

値段も最初は高くふっかけてきますが、
粘り強く交渉すると、
ホンモノの1/10以下、
ものによってはホンモノの
1/100程度の値段まで下がります。

更に、その最終的な販売価格は、
有名ブランドだから高い、無名ブランドだから安い、
というホンモノの世界の価値観には左右されず、
「この製品を製造するのにいくらかかったか」
というコスト積み上げ方式で決定されます。

ですので、この原則でいくと、
ニセモノブランド品の世界で最も安い値段が付くのは、
イタリアの有名ブランド、プラダです。
うすっぺらい黒一色の布で作ったバッグに、
三角の商標を付ければできあがり。
そりゃ、製造コストは安いですわな。

逆に、聞いたこともない無名のブランド品でも、
高級な皮を使っている製品などには、高い値段が付きます。

「ニセモノ王国」中国に住んでいると、
私たちが、ホンモノのブランド品を買う時に、
「ブランド」という目に見えないものに、
いかに高いカネを払っているかが、よくわかります。


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2006年3月6日(月)

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