第547回
韓国人のハングリー精神

現在、北京には日本人の10倍以上、
12-13万人の韓国人がいると言われています。

北京の北東部の郊外にある
ニュータウン・望京(わんじん)には、
韓国人の人たちが多く住んでいるため、
北京のコリアンタウン、と呼ばれており、
街にはたくさんの
ハングル語の看板が掲げられています。

また、北京に留学に来ている学生も、
圧倒的に韓国人が多いと言われています。
北京北西部の学生街には、
コリアンストリートと呼ばれる通りがあり、
韓国焼肉屋や韓国系のバーが軒を連ねています。

なぜ、北京には韓国人の人がこんなに多いのでしょう。

これはどうも、韓国経済に
見切りをつけた韓国の中小企業が、
隣国の高度経済成長を見て、チャンスを掴むべく、
次々と移住してきているため、のようです。
また、北京に5-6万人いると言われる韓国人留学生も、
中国ビジネスの将来性に期待して、
中国語を勉強しに来ているようです。

このため、韓国では国内産業の空洞化が、
大きな問題となっているようです。

この腰の軽さ!
アジアの中では、邱さんが
「夜逃げ専門」と言われる台湾人と、
双璧を成すのではないでしょうか。

韓国は1997年のアジア通貨危機で、
国家崩壊の危機に瀕しました。
その余りに鮮烈な記憶が、韓国人の人たちに、
長年住み慣れた故郷を離れ、
チャンスを求めて少しでも景気の良い中国に移住する、
という選択をさせているのではないでしょうか。

一方の日本。
バブル崩壊後の10数年に及ぶ平成不況の中でも、
日本人はそこそこ豊かに暮らしてきました。
韓国のような大きな経済的クラッシュがなかったことは、
それはそれで大変良いことだったのですが、
それが日本国民のハングリー精神を
低下させているのも事実です。

日本は60年前、
敗戦という大クラッシュを体験しました。
その焼け跡の何も無い状態から、
世界に誇る優良企業がいくつも生まれ、
日本を世界第二位の経済大国にまで押し上げました。
しかし、60年の時間の経過とともに、
ハングリー精神でゼロから会社を立ち上げた
創業者の人たちはいなくなり、
大企業になってから入社した人たちが
そうした会社の経営をするようになってきました。

経済的なクラッシュは、
一時的にはその国を大混乱に陥れますが、
一方で、国民のハングリー精神を高め、
将来的な国家の足腰の強さを鍛えます。

日本経済にもう一度大クラッシュを、
とは言いませんが、
今の日本人が、ほんの10年足らず前に
経済的な大クラッシュを経験した
ハングリー精神旺盛な
韓国の人たちから学ぶべきことは、
多いのではないでしょうか。


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2006年4月21日(金)

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