第576回
人は豊かになったら幸せになれるのか?

アメリカの人たちは、社会のために無償で
ボランティア活動をすることによって、
心の満足を得ているようです。
国民全員がこういった志を持っていれば、
その国が豊かだろうが、貧しかろうが、
みんなが幸せに暮らしていける国が
できるのではないでしょうか。

ひるがえって日本はどうか。
日本は戦後60年間、
「豊かになったら幸せになれる」
ということをただひたすら信じて、
豊かになるために一生懸命に働き、
今日の「世界第二位の経済大国」
という地位を築きました。
しかし、豊かになった日本に住む日本人は
その分幸せになったか、というと、
どうもそんなことはなさそうです。

長距離通勤、仕事のプレッシャー、
果てしない競争、将来に対する不安、
過労死、自殺などなど。

宮本大使によれば、
東京の満員電車に乗ってうつむいている人たちより、
大使を務められたミャンマーの人たちの方が、
日本人よりはるかに貧しいにも関わらず、
よっぽど幸せそうだ、とのことです。

私の目から見ても、今の日本には
いまだに「豊かになったら幸せになれる」
ということを信じて、
「本当に幸せな人生とはどういう人生なのか」
ということを考えるよりも、
目先の金儲けに目がくらんでしまっているひとが
たくさんいるように思えます。

中国は今までずーっと続いてきた
貧乏な時代がようやく終わって、
お金持ちになり始めたばかりですので、
みんなが「向銭看(しゃんちぇんかん、
カネに向かって進もう)」になるのは
ある程度仕方がないことだと思います。

しかし、日本人は豊かになって久しいわけですから、
そろそろ「稼ぐが勝ち!」という考え方から卒業し、
ボランティア活動を自分の心の満足のためにするような、
成熟した精神を持った国民に脱皮しても
良いころなのではないでしょうか。


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2006年6月28日(水)

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