第577回
疲労困憊都市・東京

先日、東京に出張してきたのですが、
もう、ヘトヘトになってしまいました。

まず、ちょうど梅雨の時期だった、
ということもあるのですが、蒸し暑く、
外を歩くと汗だくになってしまいます。
これが建物の中に入ったり電車に乗ったりすると、
急激に冷やされ、外に出るとまた汗だく、の繰り返し。
これはかなりの体力を消耗します。

また、東京での生活は北京での生活に比べると
1日に歩く距離が非常に長いです。
北京だとタクシーの初乗りが10元(150円)ですし、
家とオフィスが近いので、
通勤や外出にタクシーを使っても、
たいした金額にはなりません。

しかし、東京で通勤や外出に全てタクシーを使っていたら、
1日2-3万円はかかってしまいますので、
どこに行くのでも電車と徒歩で行くことになります。
健康には良いと思うのですが、これはやはり疲れます。

それと、東京は人が多いです。
13億人も人口のいる国から来て何を言う!、
と思われるかもしれませんが、北京と比べると、
東京都心の昼の人口密集度合いは異常です。
朝晩の通勤電車は言わずもがな、
昼間、街を歩いていても人がたくさんいて、
見ているだけで疲れてしまいます。

私は東京生まれなのですが、
北京に10年住んだことにより、
完全に田舎から出てきたばかりの
おのぼりさん状態になってしまっています。

私が問題だと思うのは、
東京で働く人は、こうした仕事とは
直接関係のないところで疲れてしまう、
ということです。
同じ量の仕事をこなすのでも、東京では、
北京の数倍の体力と数倍の時間を
要するのではないかと思います。

ここに更に、仕事のプレッシャーや
夜遅くまでの残業などが加わることを考えると、
正直、私は東京でのサラリーマン生活に
復帰できる自信がありません。

世界第二位の経済大国の首都・東京。
一見近代化され非常に便利そうに見えるこの街は、
そこで働く疲労困憊した人々の忍耐の上に立つ、
砂上の楼閣なのかもしれません。

東京が持続的な経済発展を遂げるためには、
在宅勤務や、都市機能の分散など、
働く人の負担を軽減し、
効率的に仕事ができるようにするための
抜本的な対策が必要となるのではないでしょうか。


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2006年6月30日(金)

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