第579回
恐怖の「日本人狩り」

8月15日に小泉首相が靖国神社に参拝した場合、
昨年に引き続き、
また反日デモが勃発する可能性がありますが、
私が一番恐れている事態は、
反日デモが再発することよりも、
一部過激分子による
「日本人狩り」が行われることです。

昨年の反日デモは怖かったのは怖かったのですが、
デモ隊に近づかなければ、
危害を加えられることはありませんでしたし、
翌日には何事もなかったように日常が戻ってきました。

しかし、「日本人狩り」となると、
誰が過激分子なのかわかりませんので、
北京市内に安全なところはなくなってしまいますし、
そんな状態がいつまで続くのかもわかりません。
わが身の安全を守るためには、
当分の間一切外出しないか、
国外に退避するしかなくなってしまうのです。

北京には「外国人狩り」の前科があります。
1999年、NATO軍のユーゴ空爆の際、
アメリカ軍機が誤ってベオグラードの中国大使館を爆撃、
新華社の記者など3人が死亡しました。
これに怒った一部の北京市民は、
アメリカ人とわかれば無差別に暴行を加え、
アメリカ資本の象徴であるマクドナルドでも
いくつかの店で店内が荒らされました。

このため、アメリカ大使館は
北京在住の全アメリカ人に対し、
「外出は極力ひかえるように。
やむをえない事情で外出する場合は、
中国の人たちに「おまえはアメリカ人か?」と訊かれても、
絶対にアメリカ人だと答えないように」
という異例の通達を出したと言われています。

中国に住む日本人の数は10万人強。
そのたった10万人の邦人の安全のために
国策を変えることはできない、
というのは十分に承知しています。
また、理由はどうあれ
「日本人狩り」などという犯罪行為が正当化されて、
それが両国間の関係に影響を与える、
などということは断固あってはならないことです。

ただ、小泉首相には、
そんな事情も含めて総合的にご判断を頂き、
最終的なご決断を下して頂ければ、と思います。


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2006年7月5日(水)

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