第611回
「セクハラ接待停電事件」

先日、湖南省瀏陽(りゅうやん)市で
「セクハラ接待停電事件」が発生しました。

そもそも事の発端は、
瀏陽市初の5つ星ホテルが開業するに当たって、
ホテル経営者が同市電力局幹部に対する
開業記念パーティーの案内状を、
自ら届けるのではなく、
部下に届けさせたことでした。

これが、電力局の共産党委員会書記と
副局長の逆鱗に触れ、
開業日にはホテルへの電力供給が
ストップされるのではないか、
といううわさはホテル側にも伝わりました。

開業当日の夜。
この電力局幹部の2人は、
別のホテルで酒を飲んでいたのですが、
開業する5つ星ホテルの
女性従業員を呼び出して酌を要求、
「白酒(ばいじょう)を1本空ける毎に、
停電時間を1時間短くしてやる」と脅しました。

そして、白酒を7本空けたところで、
彼らはその女性従業員に抱きつこうとしたのですが、
女性従業員は拒絶、
腹を立てた2人は、
部下に指示をしてホテルへの電力供給をストップ、
ホテルでは宿泊客からの苦情が殺到しました。

結局、この幹部2人は
「社会に悪影響を及ぼした」ということで、
即刻解任されたそうです。

...なんだかやりたい放題ですな、電力局。

人民のために電力を供給する仕事をしているのに、
「俺様の機嫌を損ねたら、電気を止めてやる!」
というのは、勘違いにもほどがあります。
中国共産党のスローガン
「為人民服務(うぇいれんみんふーうー、
人民のために奉仕する)」が聞いてあきれます。

しかし、多分、今回の事件は氷山のほんの一角であり、
中国の田舎では、地元の役人が
やりたい放題やっている地域が
まだまだたくさんあるのではないかと思います。

そして、こうした悪徳役人たちは、
中央政府の目が届かないのをいいことに、
みんなでグルになって独裁王国のようなものを作り、
人民からむしり取れるだけむしり取る一方、
自分たちは職権を濫用して、
私腹を肥やしまくるのです。

最近、中国では、何かささいなきっかけで
民衆と役人の小競り合いが始まると、
すぐに数万人規模の暴動に発展したりします。
これは民衆の間に、地元の悪徳役人に対する怒りが
溜まりに溜まっていて、
何かきっかけがあると大爆発している、
ということなのではないでしょうか。


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2006年9月18日(月)

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