第620回
どうしても日本人でなければならない仕事

中国で起業をするに当たっては、
まずは中国に住んでみることが重要ですが、
日本人の私たちが中国に長期滞在をするためには、
長期滞在のできるビザを取得しなければなりません。
長期滞在できるビザを取得する一つの方法は留学ですが、
もう一つの方法は、中国でどこかの会社に就職して、
居留許可証と呼ばれる労働ビザを取得することです。

私が北京に来た10年前、
日本人が中国で仕事をしたいと思ったら、
知り合いのつてをたどって求人をしている会社を
探さなければなりませんでしたが、
今や、中国にも日系の人材紹介会社が
何社も進出してきており、中国で働きたい人は、
そうした人材紹介会社に登録しておけば、
自分の希望に合った就職先を
斡旋してもらえるようになりました。

日系の人材紹介会社が中国に進出しても
商売が成り立っている、ということは、
それだけ中国で働きたい日本人と、
日本人に働いてほしい日系企業や中国企業が増えており、
その二者をマッチングする需要が高まっている、
ということなのではないでしょうか。

さて、中国で働く場合、
中国語を話せる日本人の競争相手は
日本語を話せる中国人の人たちになります。
給料の相場から言えば、中国語を話せる日本人の人件費は、
日本語を話せる中国人の人件費よりずっと高いので、
どうしても日本人でなければならない仕事以外は、
一般的に日本語を話せる中国人が採用されることとなります。

では、どうしても日本人でなければならない仕事とは何か
というと、それは中国の人たちにはマネのできない
「サービス精神」や「完璧主義」や「生真面目さ」が
生かされる仕事、ということにになります。

具体的には、
ホテルや航空会社や引越会社などのサービス業界では、
お客様に喜んで頂こうとする、
日本人の「サービス精神」が生かされますし、
工場の生産管理や品質管理の仕事では、
「差不多(ちゃーぶどー、だいたいOK)」を許さない
日本人の「完璧主義」や「生真面目さ」が求められます。

起業に備えて中国で就職する、ということは、
その就職した業界で実際に仕事をして、
業界の知識を吸収し、ビジネスチャンスを見極める、
という意味合いもありますが、
中国で起業したときに、
自分が中国で生み出すことのできる付加価値について
深く考える、よい機会になるのではないでしょうか。


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2006年10月9日(月)

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