第662回
駐在員のメンタルケア

日本企業の中国駐在員、という仕事は激務です。
その度合いは、最近、益々強まっているように思います。

駐在員は職種にもよりますが、
日本から来たお客さんや自社の出張者の対応が仕事、
みたいなところがあります。
基本的には彼らが中国にいる間中、
ずっと一緒にいなければなりませんので、
休日出勤や夜の接待の機会は当然多くなります。

また、各社ともコストの高い駐在員は
そんなにたくさん置けませんので、
1人の駐在員が担当する地域は広くなる傾向があります。
中国に駐在している駐在員が
会社やその部門で1人の場合は、
中国全土が担当地域になりますので、
中国中を飛び回ることになります。

そうしたお客さんや出張者の対応と、
国内出張の合間に、デスクワークをするわけですから、
事務所にいる日はどうしても遅くまで
残業することになってしまいます。

これは日本の本社でも同じことが言えるかもしれませんが、
1人の社員にその能力以上の仕事をさせることは、
「心の病」を引き起こす原因となります。
日本の本社は、コスト削減に注力するあまり、
1人の駐在員に過度な負担がかかっていないか、
常に注意する必要があると思います。

以前、中国に駐在する日本人駐在員は、
大学で中国語を専攻した
中国ビジネスのエキスパートがほとんどでした。
しかし、日本企業の中国ビジネスの裾野が広がるにつれて、
中国ビジネスのエキスパートだけでは人材が足らず、
「ずっと国内商売をしてました」とか、
「アメリカに駐在していたので、
中国語は全く話せません」という人が
駐在員として中国に派遣されるようになってきました。

そうした中国ビジネスの新人を
駐在員として中国に派遣するに当たっては、
日本の本社は駐在員のメンタルケアに
十分配慮する必要があると思います。

そして、駐在員の福利や、
メンタルケアにかかるカネには、
糸目をつけるべきではないと思います。

逆に言えば、日本企業は
そうした高い人件費を補って余りあるだけの
大きな利益が見込めない限り、
中国に駐在員を出すべきではないのです。


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2007年1月15日(月)

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