第668回
頭角を現す1960年代生まれの若手幹部

日本では安倍晋三氏が52歳で総理大臣となり、
戦後最年少の「若い」総理大臣の誕生、
ということで話題となりましたが、
中国政府でも1960年代生まれの若手幹部が
頭角を現しつつあります。

昨年末に農業大臣に任命された孫政才氏は43歳。
胡錦涛国家主席の出身母体である
共産主義青年団(共青団)のトップ、
胡春華第一書記も43歳。
湖南省の周強省長代理は46歳です。

また、来年にオリンピックを控えた北京市の副市長は、
吉林氏が44歳、陳剛氏が40歳、陸昊氏が39歳と、
各氏とも1960年代生まれです。

こうした若手抜擢の背景には、
「専門知識を持つ能力の高い若手を登用する」という
胡錦涛国家主席の人事方針があると言われています。

1960年代生まれの若手幹部は、
知識分子を徹底的に糾弾した1966〜76年の文化大革命が終わり、
1978年から始まった改革開放政策の中で成長したため、
きちんとした高等教育を受けることができました。

このため、彼らは博士課程を修了するなど学歴が高く、
専門知識を持つ人が多いのが特徴です。
孫政才農業大臣は農学博士、
夏勇国家保密局長(45歳)は法学博士、
播岳国家環境保護総局副局長(46歳)は歴史学博士だそうです。

これに対し、1950年代生まれの人たちは、
高等教育を受けるべき年齢のときに、
文化大革命が10年間も続いてしまいましたので、
まともな教育を受けている人がほとんどいません。

中国でかなり規模の大きな国有企業にいっても、
出てくる総経理(ぞんじんりー、社長)が妙に若いのは、
1950年代生まれをスキップして
1960年代生まれの人たちが総経理になっているためです。
文化大革命の後遺症は、こんなところにも出ているのです。

1960年代生まれの私としては、
同世代の人たちがメキメキと頭角を現して、
偉くなっていくのは非常にうれしいことです。
しかし、それと同時に
「同世代の人が大臣になっているのに、
オレはこんなことやってていいのか?」
という漠然とした焦りも感じてしまうのです。


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2007年1月29日(月)

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