第680回
息を吹きかえした元国有企業・外運華通

3月、4月は日本企業の人事異動の季節。
春節の休みも終わり、
当社のような日本人向けの引越を行う会社にとっては、
これからが書き入れ時となります。

日本でも同じだと思いますが、
引越という仕事には繁忙期と閑散期があります。
問題は作業員もトラックも
繁忙期に合わせて揃えなければならない、
ということです。

トラックはいざというときには、
他社から借りてくればよいので何とかなるのですが、
作業員は荷物の梱包をするのに
ある程度の技術が必要となりますので、
足りなくなったらその辺の
民工(みんごん、出稼ぎ労働者)を連れてきて、
というわけにはいきません。

このため、当社が
北京シノトランスとの合弁で作った
引越子会社・外運華通(わいゆんほあとん)は、
日本人の引越が多くなる3-4月以外の閑散期に、
いかに仕事を取ってくるか、
ということが大きな課題でした。

当初は、金持ちの中国人をターゲットとした
高級引越サービスを提供して
閑散期を埋めようと考えたのですが、
広告に多大なコストがかかること、
地元企業が2トントラック1台150元(2,250円)程度で
サービスを提供しているマーケットで、
いくら高級引越でも何十倍もの料金を
取ることはできないであろうこと、
以前、中国人のお客さんの引越を請け負ったときに、
引越が終わってから値切る、カネを払わない、など、
いろいろとひどい目に遭わされたこと、などから、
当面、中国人マーケットには
手を出さないほうがよいのではないか、
という結論に至りました。

そして、その代わりに
日本人以外の外国人の海外引越マーケットの開拓に
力を入れることにしました。
北京には各国の大使館や欧米企業が多いこと、
セールス活動のターゲットが絞りやすいこと、
欧米人の引越シーズンは日本人と違って
5-6月、9-10月であること、などがその理由です。

その結果、おかげさまで、外運華通は昨年、
作業員をほとんど増やすことなく、
粗利を前年比30%増加させ、
黒字体質を確立することができました。

国有企業・北京シノトランスの引越部門だったときには、
毎年毎年赤字を垂れ流していた現在の外運華通。
閑散期の稼働率を上げれば黒字化できる、
というのは、当たり前のことなのですが、
国有企業時代はその当たり前のことさえ
できていなかったんですね。

中国には民間の感覚で普通に経営すれば
息を吹きかえすことのできる国有企業が、
まだまだたくさんあるのではないでしょうか。


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2007年2月26日(月)

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