第681回
暖冬の北京に地球環境を想う

日本は今年は暖冬のようですが、
ここ北京も今年の冬は暖冬です。

通常、北京の冬は非常に厳しく、
最も寒い時期には最高気温が0℃、
最低気温が-10℃ぐらいまで下がるのですが、
今年は2月にも関わらず最高気温16℃を記録しました。
これは2月の気温としては、
観測資料が残っている清朝の時代の
1840年以降167年間で、
最高記録なのだそうです。

北京では昨年10月にも、秋風が吹いて
そろそろ寒くなってきてもよい時期なのに
最高気温が31℃となり、
55年ぶりに最高記録を塗り替えました。
こうしたことを考えると、やはり、
今年だけの異常気象というよりは、
地球全体の温暖化が着実に進んでいるのかもしれません。

暖冬だったのは北京だけではなく、
冬季アジア大会が開催された中国東北地方でも
同様だったようです。
このため、スキー競技の会場となった
吉林省吉林市では雪が足りず、
ロケット弾を打ち上げて
無理矢理雪を降らせたのだそうです。

このロケット弾、
北京などでは雨を降らせて水不足を解消するために、
夏になると打ち上げられるので既におなじみですが、
雪を降らせることもできるんですね。

北京は海岸線より200km前後内陸に位置し、
内モンゴルの砂漠がすぐ近くにまで迫ってきていますので、
冬寒く、夏暑く、春は黄砂が吹き荒れる、という、
気候的にはこれ以上ないと思われるほど最悪の街でした。

しかし、ここ数年は、春の黄砂がほとんどなかったり、
夏には雨がたくさん降って比較的涼しかったり、
冬が暖かかったりと、皮肉なことに異常気象のおかげで
なんだかとてもすごしやすい街になっています。

ただ、今まではたまたま異常気象が
よい方に振れたからよかったようなものの、
今後、悪い方に振れれば、北京が人の住めない
ゴーストタウンになってしまう可能性も大いにありますので、
喜んでいる場合ではありません。

目先の経済効率を追求する余り、環境を破壊して、
結果的に遷都という巨大な代償を
支払わなければならないような事態に陥らないよう、
中国政府には環境対策を率先して行って頂きたいと思います。


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2007年2月28日(水)

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