第727回
バレなきゃ何をしてもよい

中国にはいまだに「バレなきゃ何をしてもよい」
という風潮が根強く残っているように思います。

交通規則を守らない車、信号を守らない歩行者、
税金を払わない企業、会社のカネを横領する従業員。
私は初めて中国に来たときに、
日本と比べてあまりに遵法意識が希薄であることに
驚いたものです。
中国の多くの人たちの感覚からすれば、
バレなかった犯罪は、犯罪ではないのです。

社会全体がこんなですので、
中国の法律は網の目をくぐらせないように、
非常に厳しくできています。
基本的には全て禁止にしておいて、
現場のお役人の判断により「特例として」許可を出す、
という仕組みになっています。

そんな法律を守らない人たちを想定した
性悪説に基づく社会システムを持つ国で、
本社からの画一的な
コンプライアンス(法令遵守)の要求を
満足させながら、なお且つ、
きちんと利益を上げている日本企業の現地法人は
たいしたものだ、と私は思います。

こうした「バレなきゃ何をしてもよい」という風潮は、
サービスを受ける消費者に
「見えないところで何をされているか
わかったもんじゃない」
という不信感を抱かせます。

例えば、私は中国の航空会社の
飛行機に乗るときには、
絶対に荷物を預けません。
自分のスーツケースが、
見えないところでどんな扱いをされるか
わかったものではないからです。

実際、北京空港で飛行機の駐機場まで、
バスに乗って行くときに、
まるでゴミを捨てるように、
スーツケースを放り投げる作業員を目撃し、
「やっぱり預けないでよかった」
と思ったことがあります。

「バレなきゃ何をしてもよい」という社会では、
安易に他人を信用することは避け、
自分のモノは自分で守らなければいけないのです。


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2007年6月15日(金)

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