第728回
社会効率が低い不信社会・中国

中国は不信社会です。

これは多くの中国の人たちが
「バレなきゃ何をしてもよい」と考えているため、
安易に人を信用すると、
ひどい目に遭わされるためです。

中国の人たちはレストランで魚料理を頼むと、
必ず、ウエイターがいけすから取ってきた
生きている魚を席まで持って来させて確認します。
死んで腐りかけた魚を
食べさせられてはたまらないからです。

龍蝦(ろんしゃー、ロブスター)の場合は
それでも信用できず、
お客さんは角を折ってから
龍蝦を調理場に持って行かせます。
これは後で調理されて出てきた龍蝦の角に合わせてみて、
本当に先ほど出てきた生きた龍蝦を調理したのかを
確認するためです。
中国ではお客さんは、
レストランを全然信用していないのです。

最近はレストランに「マイオイル」を
持参する人もいると聞きます。
レストランがコスト削減のために、
安くて体に悪い油を使うことを怖れて
自分の家から持ってきた安全な油で調理をさせるのです。

中にはそれでも信用できず、
本当に自分が持ってきた油を使っているか、
調理場まで入って確認する人もいるようです。
そんなに心配なら、レストランで食事などせず、
家で自分で料理した方がよいのではないか、
とも思うのですが...。

こうしたことから、最近北京では、
調理場をガラス張りにするレストランが増えてきました。
これはコックの調理技術を
お客さんに楽しんでもらうため、というよりは、
「当店では清潔な環境の中で、
何のごまかしもなく調理をしています」
ということをアピールして、
お客さんに信用してもらう、
というのが主な目的のようです。

私は日本が急速な経済成長を成し遂げた
一つの大きな要因は、日本が信用社会で、
社会全体の効率が高かったからだと思っています。
一方、「バレなきゃ何をしてもよい」という人が多い
不信社会の中国では、余計なコストが発生し、
社会全体の効率を押し下げているように思います。

「バレるバレないに関わらず真面目にやる」
という人が増えない限り、
中国の社会全体の効率が日本のように高くなることは
ないのではないか、と私は思うのです。


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2007年6月18日(月)

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