第732回
「親の老後の面倒は子供がみなさい法」

中国の年金支給開始年齢は、
男性が60歳、女性が50歳です。
日本では原則として65歳からの支給ですので、
中国では日本ほど年金原資の問題が
深刻になっていないようにも見受けられます。

しかし、中国は一人っ子政策の影響で、
今後、日本以上の少子高齢化社会を
迎えることが予想されています。
1979年に始まった一人っ子政策の
第一世代は今年28歳。
今後、働き盛りの年代に一人っ子世代が増える一方で、
医療技術や衛生環境の改善で
中国の人たちの寿命が伸びると、
年金の原資が足りなくなるのは
火を見るより明らかです。

それが日本に比べて
あまり問題視されていないように見えるのは、
一つは中国では、新聞、テレビなどのメディアが
政府に監視されているため、
そうした問題を取り上げる報道が
されていないためであると思われますが、
もう一つの理由は、親の老後の面倒は、
当然子供がみるべきである、と考える人が
まだまだ多いことにあるのではないか、と思います。

中国の人たちは非常に親孝行です。
どうも中国の親孝行のレベルは
日本のそれに比べて非常に高いようで、
中国の人たちと話していると、
自分ではそんなつもりはないのですが、
私はとんでもない親不孝者であるような
言われ方をされます。

そんな常識の国ですので、
中国では年老いた親と同居して、
その生活費の負担から身の回りのお世話まで、
全てを働いている子供の世代がみるのが当然なのです。
こうして、親孝行な子供がおカネの面も含めて、
各家庭で年寄りの面倒を見てくれる、ということであれば、
年金原資が足りず、将来的に年金額が減るかもしれない、
ということが、あまり大きな問題にならないのもうなづけます。

一方の日本では、昔は三世代が一緒に住んで、
子供が親の面倒をみるのが当たり前だったように思いますが、
今では核家族化が進んで、
年金だけで一人暮らしをするお年寄りが増えているようです。

いっそのこと、この際、年金制度は廃止にして、
「親の老後の面倒は子供がみなさい法」
なんていう法律を作れば、
年金問題と同時に、
少子化問題も解決するかもしれません。


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2007年6月27日(水)

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