第733回
子供を産むことは投資?消費?

中国では子供を産むことは投資です。

子供を産んで育てれば、大人になったときに、
働いて稼いだおカネで年老いた親を養ってくれます。
ですから、中国では子供をたくさん産めば産むほど、
親は豊かな老後を過ごすことができるのです。

しかし、放っておくと人口が大爆発して、
国がいつまで経っても
貧乏から抜け出せないことに気付いた中国政府は、
1979年から一人っ子政策を開始しました。

子供が1人しか産めない、ということになると、
農家では男の子を欲しがります。
男の子はいつまでも家にいて、
畑を耕して親を養ってくれますが、
他家に嫁いでいってしまう女の子では、
大人になるまでにつぎ込んだ投資が
回収できないからです。

そして、
お腹の子供が女の子だとわかった時点で中絶する、
産まれた子供が女の子だったら殺す、捨てる、
または、産まれた女の子は役場に登記せず、
男の子が産まれるまで子供を産みつづける、
というようなことが行われた結果、
2005年に中国で産まれた赤ちゃんは、
女の子100人に対して、男の子は118人という
明らかに不自然な数字になっています。

こうした倫理的に問題がある行為を思い止まらせるために、
中国の田舎に行くと
「女の子も同じ人間なので、ちゃんと育てましょう」
というような、一瞬目を疑うようなプロパガンダが、
レンガ塀にでかでかと書かれているのですが、
子供を産むことが投資である限りは、
有利な投資商品である男の子を選んで産む人は、
いなくならないのではないか、と私は思います。

一方の日本では子供を産むことは消費です。

日本では昨今の教育費の高騰で、
子供1人を大学まで出すと
家1軒分の費用がかかると言われています。
しかし、そんなコストをかけて育てても、
子供が結婚して家庭を持つようになれば、
家計は別会計になってしまいますので、
年老いた親は自らが築いた財産と
年金を頼りに生きていかなくてはなりません。

子供1人で家1軒分、子供3人なら家3軒分。
そんな巨額のおカネを、何の見返りもなく消費する、
という意味では、
日本では、子供を産むという行為は、
究極の贅沢と言えるのかもしれません。

人口抑制に苦慮する中国と、少子化に悩む日本。
この両国が抱える正反対の問題は、
両国の「子供を産むこと」に対する
位置付けの違いが生み出した当然の帰結なのです。


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2007年6月29日(金)

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