第739回
中国製品の安さに頼らない経営

みみっちい話で恐縮なのですが、
私の会社のオフィスが入っている
幸福大厦(しんふーだーしゃー)の食堂の昼の定食が、
何の予告もなく突然、8元(128円)から
10元(160円)に値上がりしました。
値段的にはたった2元(32円)の値上がりなのですが、
元々が安いので率にしたら25%の大幅値上げです。

食堂のおばちゃんに値上げの理由を訊いたところ、
「食材の値段が上がったからよ。
いやなら外で食べな!(意訳)」とのことでした。

この食堂の定食は、肉料理1品、野菜料理1品、
スープ、ご飯とボリュームたっぷりです。
外のレストランでこれだけのものを食べようと思ったら、
少なくとも20元(320円)はかかりますので、
25%上がろうが50%上がろうが、
依然として軍配は幸福大厦の食堂に上がるのです。

今、これと同じことが貿易の世界でも起こっています。

中国政府はこの7月1日から、
輸出税の還付を大幅に削減しました。

中国は輸出品に対して、
一律17%の輸出税を課していますが、
品目によってその輸出税の一部を還付しています。

今回の措置で中国政府は、
セメント、一部金属製品など553品目の還付をゼロにし、
衣料品、玩具など2,268品目の還付率を引き下げました。
これだけ大規模な還付の削減は異例なのだそうです。

これは人民元は緩やかに元高になっているものの、
輸出はどんどん増加し、
中国の貿易黒字が今年1-5月で857億米ドルと、
前年同期比で83%も増加したことに対する輸出抑制策です。
これにより中国の輸出品は、
最大で17%値上がりすることになりました。

しかし、多くの商品で、中国製品が17%値上がりしても、
他の国の製品や日本製の製品よりまだまだ安い、
という状況が続くことが予想されます。
今まで日本製の1/5の価格で買えていたものが
1/4になった、という感じではないでしょうか。

25%値上がりしても外のレストランよりはまだまだ安い、
幸福大厦の食堂と同じです。

今後、中国製品は
元高と労働コストの上昇に加えて、
中国政府の輸出抑制策により、
どんどんその輸出価格が
上がっていくことが予想されます。

中国はもう既に世界の工場ではありません。

中国製品を輸入している日本企業は、
早急に中国製品の安さに頼らない経営に
シフトする必要があるのです。


←前回記事へ

2007年7月13日(金)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ