第751回
並ぶ中国人

中国に来られた方なら、
一度は体験して不快な思いをする列への割り込み。

麦当労(まいだんらお、マクドナルド)などで
列に並んでいると、後から来た人が
どんどん直接カウンターのところに行って
注文をしてしまうので、
永久にハンバーガーにありつけないのではないか、
という恐怖感に襲われることがしばしばあります。

こうした列を守らない人たちの最大の問題は、
列への割り込みに全く罪悪感がないことです。
「オレはハンバーガーを食いたい。
ハンバーガーを食いたいから
カウンターのところに行って注文する。
で、何か問題でも?」という感じなのです。

私はこれは、中国の多くの人たちが
「並ばない遺伝子」を持っているためではないか
と思っています。

中国では歴史的に戦乱が多く、
貧しい時代が何百年も続いたので、
列などに並ばず、
食べ物を強引に掴み取る遺伝子を
持った人たちだけが「適者生存」し、
お行儀よく列に並ぶ遺伝子を持った人たちは、
食べ物にありつけず
「自然淘汰」されていったのでは
ないでしょうか。

しかし、ここに来て、
中国の人たちが並び始めています。

オリンピックを来年に控え、
北京市政府は毎月11日を並ぶ日としましたが、
毎月11日以外の日も、北京市内の各バス停などでは、
そろいの制服を来た「整列指導員」の方々が、
整列を指導しています。

今まで並ばなかった人たちも、
悪意を持って並ばないわけではなくて、
本能に従って自然に並ばなかっただけですので、
「整列指導員」に厳しく指導されると、
素直に言うことを聞いて並んでいます。
中国の人たちも、並ばせれば並ぶのです。

しかし、「整列指導員」がいないところでは、
相変わらず列への割り込みが横行しています。
多くの人の心の中で、
「並ぶ理性」が「並ばない本能」に打ち勝つまでには、
まだまだ時間がかかるのかもしれません。


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2007年8月10日(金)

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