第808回
ド素人でもできる中国国有企業再生

北京に進出している欧米系の海外引越会社は、
その多くが北京での実働部隊を持っておらず、
実際の引越作業や通関業務は
地元北京の海外引越会社に委託していました。

私たちは売り込み先を
大使館や欧米企業などのエンドユーザーから、
こうした欧米系の海外引越会社に切り替えたところ、
非常に強い反響があり、立て続けに
3社と契約を結ぶことができました。

売り込みの段階でわかったことなのですが、
地元北京の海外引越会社の内、
上位の会社はサービスの質は高いが値段がべらぼうに高い、
下位の会社は値段は安いがサービスの質が非常に低い、
ということで、欧米系の海外引越会社も
委託先には常に不満を持っていた、とのことです。

そこに「日本人マーケットで鍛えられた
質の高いサービスを提供できるが、
値段はリーズナブル」な外運華通が売り込みに来たので、
彼らにとっては正に「渡りに船」だったようです。

もちろん、欧米系海外引越会社の
「下請け」という形になりますので、
エンドユーザーと直接契約した場合に比べれば
利益率は落ちます。
しかし、3社分の海外引越作業が
全て外運華通に委託されることにより、
閑散期がなくなり、ありがたいことに、
ほぼ1年中いつでも忙しい、という状態になりました。
今まで閑散期にはゆっくりしていた作業員の人たちは、
あまりありがたくなさそうですが...。

これにより、シノトランスの一部門だった時には
赤字を垂れ流していた外運華通も、
今では親会社である当社本体に迫る
利益を出すに至っています。
同社はこの2年間で、売上が60%増加しましたが、
閑散期に仕事を入れて、
今まで遊んでいた経営資源を有効活用しただけですので、
人員やトラックの増加はなし、
経費はほとんど上がっていません。
利益が出るのは、ある意味当たり前です。

こうして実際に経営を引き継いでやってみると、
国有企業・シノトランスが
いかに工夫もやる気もない経営をして、
赤字を垂れ流していたかがわかります。

当社のような企業再生のド素人が
当たり前のことを当たり前にやるだけで
黒字化に成功するぐらいですから、
欧米のファンドや日本の商社が、
カネと企業再生のプロを投入して合理的な経営をすれば、
見違えるような優良企業に生まれ変わる
中国の国有企業は多いのではないか、と思います。


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2007年12月21日(金)

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