第817回
原油価格が上がれば印刷屋が儲かる?

先日、近所の行きつけの中華料理屋に行ったところ、
以前はボロボロだったメニューが、
新品の豪華なものに変わっていました。

「ようやくここのおやじも、
商売というものがわかってきたようだな」
などと思いつつメニューを開けてビックリ、
料理の値段がことごとく値上げ、
それも大幅アップとなっていたのです。

これはこの中華料理屋に限ったことではなく、
市内の他の中華料理屋でも軒並み値上げのため、
メニューを新しくしています。
多分、こうしたメニューを作っている印刷屋は、
思わぬ特需で、資材価格の上昇を補って
余りあるぐらいの儲けを出しているのではないでしょうか。

中国の昨年11月の消費者物価指数(CPI)は
前年同月比で6.9%上昇しました。
これが食品価格に限れば18.2%の上昇、
中国料理に欠かせない豚肉に至っては
50%を超える大幅上昇となっていますので、
中華料理屋が値上げに
踏み切らざるを得ないのも理解できます。

この物価上昇の原因は、増え続ける輸出により、
国内にあふれかえった人民元が引き起こしたインフレですが、
豚肉に限って言えば、原油価格の高騰によって、
中国でもバイオエタノールの生産が盛んになり、
ブタの飼料となるトウモロコシの価格が大幅に上がった、
ということもあるようです。

原油価格高騰→バイオエタノール生産量増加
→トウモロコシ価格上昇→ブタの飼育コスト上昇
→豚肉価格上昇→中華料理屋仕入れコスト上昇
→中華料理屋値上げのためメニュー刷新→印刷屋受注増加。

「風が吹けば桶屋が儲かる」ではないですが、
今の中国では
「原油価格が上がれば印刷屋が儲かる」なのです。

今後もインフレや原油価格の高騰が続けば、
中華料理屋は更なる値上げをしなければなりません。
そうなると、またメニューを新しくするため
印刷屋が儲かるのかと思いきや、
敵もさるもの、そうは問屋が卸しません。

先日、お粥屋のチェーン店に入ったところ、
そのお店の写真入りの豪華なメニューには、
値段が書いてありませんでした。
値段は、今度またいつ値上げしても
すぐに自分たちで差し替えができるように、
別紙にまとめられているのです。

他の店でもこのやり方が採用され始めれば、
今後、原油価格が上がっても、
もう印刷屋は儲けられません。

商売の世界は厳しいですな。


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2008年1月9日(水)

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