第846回
中国版「高学歴ニート」

中国の大卒者の就職戦線が氷河期である、と言っても、
超優秀なエリートは引く手あまたで、
北京の大卒初任給の平均が
月2,200〜2,400元(33,000〜36,000円)と言われている中で、
最初から月給1万元(15万円)、2万元(30万円)は
当たり前なのだそうです。

こうしたエリートは、
文系ならば将来経営幹部として
会社を経営していく能力を持った人たち、
理系ならば会社に大きな利益を与える
革新的な技術を持った人たちです。

要は製造業にしても、サービス業にしても、
現在の中国の産業構造では、
極端な話、一握りのエリートと
大量のブルーカラーがいれば会社は回っていくので、
それほど優秀でもないのにプライドばかりが高い
普通の大卒はいらない、ということなのでしょう。

実際の企業経営においては、
大量のブルーカラーを仕切る、
現場監督やフロアマネージャーなど
中間管理職が必要となってきますが、
これもブルーカラー人材の中から
仕事ができて他のみんなから信頼されている
優秀な人材を抜擢すればよい話で、
中間管理職は大卒でなければいけない、
というわけではありません。

逆に、中国のホワイトカラーは日本と違って
現場仕事を極端に嫌がりますので、
採用して現場監督やフロアマネージャーをやらせようとしても、
「大卒の私が、なんでこんな仕事をしなければならないんですか?」
と言われるのがオチです。

実際私も、中国で起業して初めて雇った大学新卒の女性に
「私はこんな仕事をするために、
大学で高度な知識を習得してきたわけではありません」
と言われて、大変ショックを受けたことがあります。
彼女はエリートと呼ばれるほどの
能力を持っていたとは思えないのですが、
「大卒」というプライドだけはエリート並みだったのです。

今の中国では需要が少ない普通の大卒者。
彼らは本当に優秀なエリートになって幹部候補生を目指すか、
または、「大卒」のプライドを捨てて現場仕事をするかしなければ、
いつまで経っても職にあぶれ、
日本で言う「高学歴ニート」になってしまう日も
遠くないのではないでしょうか。


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2008年3月17日(月)

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